事務処理をソフトウェアで自動化するRPA(Robotic Process Automation)の勢いには目を見張るものがある。「かつてのクラウドを思い起こさせる盛り上がりを見せている」という人もいる。RPA市場では主に外資系のコンサルティング会社やベンダーの活躍が目立つが、少数派ながら国産で勝負している勢力も存在する。そのひとつがNTTグループだ。NTT研究所が開発したRPAツールをシステムインテグレーターの立場で販売しているNTTデータの中川拓也氏と佐藤善毅氏に、その狙いと、情報システム部門の取るべきスタンスについて聞いた。
産業用ロボットであるロボットアームが、人に代わって工場のラインで作業を行うかのように、人がパソコンを使って行っていた事務処理をソフトウェアロボットが代わって行うのが、RPAの基本的な考え方だ。産業用ロボットが工場のオートメーション化に一役買ったように、RPAもまたホワイトカラー業務の自動化を推し進める。
専門部署を立ち上げ国産ツールで勝負に出る
マーケットで見られるRPAツールのほとんどが、専業ベンチャーの手によるものだ。欧米では、多くの大手コンサルタント会社がベンチャーであるRPAベンダーのパートナーとなり、企業にBPO(Business Process Outsourcing)の一環として提案している。日本のマーケットでも、国内で初めてRPAをビジネス化したといわれるビズロボ(現RPAテクノロジーズ)を除くと、RPAのメインプレーヤーは海外での実績豊富な外資系コンサルタント会社で、ツールもほとんどが欧米の専業ベンチャーの製品であることは変わらない。
そんな中、2017年1月にRPAの専門部署を立ち上げたのが、NTTデータだ。同社が担ぐ「WinActor(ウィンアクター)」は、純国産のRPAツールだ。2010年にNTTグループの研究所のひとつであるNTTアクセスサービスシステム研究所が開発、2013年にNTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)が製品化している。発売当初は、まだ「RPA」という言葉が一般的でなかったこともあり、「パソコン操作自動化ツール」として提供されていた。

NTTデータ第二公共事業本部第四公共事業部第二統括部RPAソリューション担当課長の中川拓也氏によると、このウィンアクター、「操作するために4つの手段を用意している」という。一つ目はUI識別型。他社製のRPAツールと同様、アプリケーションの裏のコードを読んで判断する方法だ。IE(インターネット・エクスプローラー)やVB(ビジュアルベーシック)などで利用する。
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >