[中国電脳事情]

【中国電脳事情セレクション】産業用ロボットのオペレーターが3年後に300万人不足する―中国政府予測、ほか

2017年11月7日(火)足立 治男

中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。

衛星測位システム「北斗」の新SoCチップが完成、2020年には世界向けサービスを開始予定

―新華社(2017年9月17日)

 中国が独自に開発している衛星測位システム「北斗」(BeiDou Navigation Satellite System)。2017年9月16日、現在構築中の第3世代「北斗3号信号システム」に対応した高精度SoC(System-on-a-Chip)チップがリリースされた。新チップにより、地上基地からの増強なしでサブメーター級の測位精度を実現できるという。

 新チップは、車両管理、カーナビ、ウェアラブル端末、航海誘導、GISデータの採集、精密農業、インテリジェンス物流、無人運転、工事実地調査などの分野での応用が期待されている。

 北斗衛星ナビゲーションシステム総設計者の楊長風氏によると、北斗3号信号システムの構築プロジェクトはすでにフル稼働しており、計画では2017年内に4基の衛星を打ち上げるほか、2020年を目途に全世界に向けたサービスを提供する構えだ。

身分証の大変革、身分標識情報をSIMカードに搭載へ

―工人日報(2017年9月23日)

 中国では2016年に複数のルートで流失した個人情報は65億件に達するという統計がある。つまり、平均すると中国民1人の個人情報が1年に5回は流失していることになる。

 こうしたなか、中国公安省(日本の警察庁に相当)傘下の第3研究所は、「2017年国家ネットセキュリティ広報週間」において、ネットワーク電子身分標識「eID」の研究開発状況について発表した。

 eIDは暗号技術を基礎とした個人の身分標識で、個人情報保護を前提に、ネットワーク上で個人の身分識別を行うものだ。同研究所の職員によると、このeIDを携帯電話のSIMカードに登載するというのは第1段階で、現在、このような電子身分標識技術はすでに銀行のキャッシュカードで応用されており、今後は不動産登記の検索や、食品・医薬品の検査などの分野にeIDを応用していくという。

「中国製造2025」に向け、工業・情報化省と中国証券監督管理委員会が提携

―投資快報(2017年9月28日)

 工業・情報化省と中国証券監督管理委員会は2017年9月26日、「中国製造2025(メイドインチャイナ2025)」のさらなる推進のために、協調、情報交換、共有、業務連結などを目的とした戦略提携協定書を締結した。

 現在、中国では労働人口の減少と人件費の高騰が進んでおり、工業の情報化は待ったなしの課題とされている。北京市の証券会社、申万宏源の研究報告によると、メイドインチャイナ2025は、中国の製造業をドイツのIndustrie 4.0に移行させるだけでなく、中国の低レベルな資源依存型の産業構造転換を図るものであるとし、中国新興産業の成長と、工業の自動化レベルを引き上げるものであるという。

 現在、広東省、浙江省、福建省などの製造業が盛んな地域では、絶えず「機械化」が進んでいるが、中国の産業用ロボット市場は、依然として外資ブランドが主導的地位を占めている。深セン市の証券会社、長城証券の研究報告によると、現在の中国内の産業用ロボット市場の約9割が外資系企業に占められており、その中でも、日本のファナック、安川電機、ドイツの老舗メーカーで中国企業参加のクーカ(Kuka)、スイスのABBの4社で約65%のシェアを占めるという。

 国際ロボット連盟(IFR:International Federation of Robotics)の予測では、2017年から2020年までに、世界の産業用ロボットの年平均販売台数の成長率は12%となる。同時期における中国製産業用ロボットの年平均販売台数の成長率は21%で、世界トップになるという。

 中国国家統計局のデータでは、2017年1-6月における中国産業用ロボット生産台数は前年同期比52.3%の増加となり、その中でも6月は前年同期比61.1%の増加となった。この増加率は各種工業製品の中でもトップである。また、上場企業を例に見ると、自主研究開発、共同開発、合併の3方法が主な産業用ロボットの導入方式になっているという。

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