人材総合サービス会社のテレビCMに、天井から降ってくる大量の資料を上着で頭を覆って防ぎ、皆で拾い集めて下のフロアに落とす丸投げ体質の組織を皮肉ったものがある。つい苦笑してしまうが、こういうCMが成り立つこと自体、組織体質として丸投げが恒常化していることを示すものとして興味深い。
丸投げは責任の回避であり主体性の放棄である
企業内では「これ、明日までにやっておいて」と上司が部下に資料を渡すシーンはよく見受けられる。あるいは「この案件は君にやってもらうので、あとはよろしく」というケースも多い。仕事を受ける部下の立場に立つと、どちらも丸投げされたと感じるかもしれない。権限委譲なのか丸投げなのかがはっきりしないからだ。
上司が結果責任を取るから自分の思うように遂行してよいのなら権限委譲であり、実践によるスキル育成策としても好ましい。しかし執行責任ばかりでなく、結果責任も部下に求めることは丸投げである。”丸投げ上司”は仕事を部下に割り振るだけで結果責任を取ろうとしない。部下がうまく処理してくれれば、こんな楽なことはない。
当然、企業間の丸投げも存在する。企業間では委託という形で契約される。委託には請負と委任があり、請負は結果に対して、委任は行為に対してそれぞれ報酬が支払われる。一括請負契約は成果に責任を持つ望ましい契約形態だが、半面、責任を押し付ける丸投げも起こりやすい。
上司と部下の間でも企業間でも丸投げは受ける側ではなく、依頼あるいは委託する側の意識の問題であり、責任を回避あるいは放棄したいというところに根源がある。システム開発においても丸投げは主体性と責任が問われる問題なのである。
丸投げしない、アウトソーシングの実践事例
システム開発やサービス業務などにおいて、外部の情報サービス会社に業務の一部や全部を委託することは通常の商行為である。しかし同じ業務委託であっても、丸投げになるケースとアウトソーシングとして外部の資源を活用するケースでは、計画もプロセスも異なる。筆者が実践した丸投げにならないアウトソーシングの事例を示そう。
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