[市場動向]

パナソニック、産業用ロボットベンチャーと協業して熱加工現場のプロセスを改善

2019年6月18日(火)杉田 悟(IT Leaders編集部)

パナソニック(本社:大阪府門真市)は2019年6月17日、熱加工現場のプロセスを改善するソリューションを開発すると発表した。ロボットシステムソフトウェア開発ベンチャーであるリンクウィズ(本社:静岡県浜松市)の協力を得て溶接作業を自動化する。社内カンバニーであるコネクテッドソリューションズ社が推進する。

 パナソニックがリンクウィズの協力を得て開発するのは、自動車などの部品を製造する際の熱加工の現場のプロセスを改善するためのソリューションである。溶接の加工作業だけでなく、それ以前の形状認識・解析や溶接後の検査までのプロセスをカバーする。

写真1:パナソニック コネクテッドソリューションズ社 社長の樋口泰行氏

 パナソニックは、自動車、建機、造船業界などに溶接機や溶接ロボットを提供、センシングやエッジデバイスなどの技術を含めた製造現場の知見、ノウハウを有する。

 コネクテッドソリューションズ社 社長の樋口泰行氏(写真1)は、「従来のパナソニックであれば、必要な技術は自分たちで開発し、一気通貫で提供していた」というが、現在はパートナー戦略を重視しており、「リンクウィズのような、顧客の課題解決に必要な技術を持つスタートアップ企業との協業も積極的に行っていく」考えを示している。

 リンクウィズは産業用ボロットの制御や自動検査を行うためのシステムソフトウェアを開発するベンチャー企業。最適な加工設定を自動的に算出してレコメンドを出すなど、高度なロボットエンジニアでなくても操作できる。加えてCADデータが不要で、自動車部品の加工を行う大手企業の工場から、CADを導入していない町工場まで使えるロボッティクス技術となっている。

 具体的には、加工対象の微妙な形状の違いに合わせてロボットの動きを補正するティーチング修正と、溶接された部分の形状を検査し不良品かどうかを判断する溶接ビード検査を行う。いずれもこれまで、高額な設備投資を必要とする、あるいは人が行っていた処理だが、これをロボットとソフトウェアでより安価に自動化する。

 これとパナソニックの溶接ロボット、エッジデバイス、プロセス技術を組み合わせることで、形状認識・解析から溶接、検査に至る溶接・検査プロセス全般をカバーして最適化することが可能になるとしている(図1)。

図1:パナソニックとリンクウィズが熱加工事業へのフルプロセス提供を実現する
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 リンクウィズのロボティクスソフトウェアは、既存の産業用ロボットに後から実装できるのが特徴で、パナソニック以外の産業用ロボットにも適用可能となっている。今回のターゲットとなる溶接ロボットに関してはパナソニックに一日の長があり、リンクウィズとの親和性も高いとしているが、すでに他社の産業用ロボットを導入している企業に対しても、パナソニックがリンクウィズのソフトと自社のノウハウを組み合わせたソリューションとして提供していく意向だという。

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