今年の7月はアジアを歴訪することになった。インドネシア・バリ島に始まり、中国・深圳の企業訪問、フィリピン・リパでのナチュラルな生活体験まで3カ国をほぼ連続して周り、改めて文化の違いや進化する時代、そして変わらぬ風景などを体験できた。
単発的に海外訪問することは毎年恒例だが、連続して3カ国を訪問したのは初めてである。記憶が新鮮なうちに複数国を周遊すると違いがよくわかる。どの国も豊かになっていることは『FACTFULNESS』を読まなくても体感できる一方、社会の底辺で暮らす人たちが少なからず存在するの事実として受け止めねばならない。ただ満面の笑みや親子で戯れる様子から、その底辺で暮らす人たちからも金銭や物資の豊かさとは異なる幸福感が伝わってくる。
インドネシアは休暇を楽しむために気のおけない仲間とバリ島に出かけた。島全体がリゾート地であり観光が主たる産業だが、あえて観光客があまり訪れることがないエリアを縦横断してみた。レストランも場当たりでローカルな食堂風のところで飲食したり、一流のリゾートホテルのレストランでホスピタリティを楽しんだりしてみた。バリ島はバリヒンドゥーの神々の島であり、敬虔な島民が日々祈りを捧げていて、島内移動中もあちらこちらで正装の男女が集まって祭りごとをしている様子を目にした。生活と一体化された宗教観の中で提供されるリゾートのホスピタリティは変わらず一級品であった。インバウンドが増えてきた日本も見習うべきことがたくさんある。
「聞く」と「見る」では大違いの中国・深圳
深圳の訪問で改めて感じたことは、事前に耳にしていたことと現場事実には大きな乖離があることである。通信規制は思ったほどではなく、ホテルのWi-FiでFacebookもLINEもViberも使えた。28歳という市民の平均年齢の若さは街を歩く人々をみて分かるが、深圳市龍崗区から来られた職員から聞いていた「60歳以上は居住権がない」との話は虚構だとわかった。
10数年前に訪問したときに比べてゴミの分別は進んでいるし、緑地や公園が整備されていて街が綺麗だ。タクシーやバスはほとんど地元企業であるBYD製のEV(電気自動車)。半面、自家用車の多くはまだガソリン車で、東京以上に高級車が目立つ。無人店舗もドローン配送も試験段階であり、市内のあちこちで見られるわけではない。顔認証の販売機や宅配ボックスなどの配備は進んでいるが、すべて電子マネーというわけではなく、現金は普通に使える。
都市インフラの整備も進み、道路の渋滞緩和に地下鉄が重要な施策であることも現状や延伸計画やターミナル駅の賑わいを見ていて感じることができた。高層ビル群が継続的に建設されていて、その工法も足場や支保工(しほこう:上/横からの荷重を支えるための仮設構造物または部材)などを使わないカーテンウォール工法で日本と変わらない。同時にエネルギー供給や給排水などの地下インフラ整備も進んでいるに違いない。こういうことは現場に立てば目からも耳からも、そして五感でも感じることができるものだ。百聞は一見に如かずとはよく言ったものである。
●Next:異国での体験を通じて筆者が感じ、学んたこと
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >
- DXを推進するなら「情報システム部門」を根底から見直せ!(2024/10/30)
- 「建設DX」の実態と、厳しさを増す持続可能性(2024/10/02)
- 過剰なハラスメント意識が招く日本の萎縮(2024/08/27)
- 日本の死生観の変化がもたらす将来(2024/08/07)
- 銀行窓口業務の効率化、なぜ今もできない?(2024/06/24)