自社サービスの信頼性を可視化してエンドユーザーに公開する──米New Relicの日本法人は2019年10月29日、同社のNew Relicが顧客に提供しているシステムやサービスの稼働状況指標を外部公開する取り組みである「トラスト構想」を発表した。クラウドインテグレーションに強みを持つフレクトと協業して提供していく。
New Relicが提供するのは、システム稼働状況やデジタルサービスのパフォーマンスを可視化するクラウドサービスで、同社は「可観測性プラットフォーム」と呼ぶ。デバイスにインストールされたエージェントから稼働状況指標を自動収集して可視化する。
New Relicの管理用ダッシュボードは、システムやサービスを運用する企業の担当者が監視、閲覧するために提供されている。
今回発表した「トラスト構想」は、New Relicの顧客企業に提供されているダッシュボードを、顧客企業のサービスを利用するエンドユーザー向けにも公開するというもの(図1)。クラウドインテグレーターであるフレクトと共同で推進していく。
拡大画像表示
フレクトは、クラウドサービスのインテグレーションに強みを持つSIer。同社の取締役COOである大橋正興氏によると、「ERPやCRMのクラウド移行を担う既存のクラウドインテグレーターと異なり、IoTやAIなどデジタル分野のクラウドインテグレーションがフレクトのビジネス領域」だとしている。
トラスト構想に基づいたサービスの提供に先立ち、フレクトが自社サービスとして提供する「Cariot(キャリオット)」で、トラスト構想の実証実験を開始している(図2)。Cariotは、ドライブレコーダーなどの車載デバイスから送信されるデータをリアルタイムに処理して、車両の動態管理を行うIoTサービス。リアルタイム性の高い動態管理が必要となるため、New Relicの標準機能を導入し、サーバーの最適化と性能管理を行っている。
拡大画像表示
実証実験では、Cariotを利用するエンドユーザー向けカスタマーサポートの一環として、New Relicを利用したマイページを提供する(図3)。New Relicで収集したCariotの性能指標をAPIで取得、エンドユーザーの個別ダッシュボードを通じて公開する。
拡大画像表示
New Relicの副社長の宮本義敬氏は「稼働状況指標をエンドユーザーに公開することで、事業者は高いレベルのサービスを提供し続ける必要性に迫られる。これがサービス品質の向上や障害対応の高速化につながる」としている。