経営者の本当の意識はわからないが、いろいろなアンケートやメディアの取材記事などを見るかぎり、社会環境変化に伴う経営のトレンドに対して大いなる勘違いがあるのではないかと思えてならない。例を挙げよう。2016年に起こった大手広告会社の労働環境問題をきっかけに、政府主導で「働き方改革」がキーワードになった。
当時、世間を騒然とさせた大手広告会社の事件。その実態は明らかにパワハラであり企業文化の問題だったと推測される。だが、なぜか長時間労働の問題に置き換えられた。その結果、今では働き方改革のメインストリームは残業削減や時短である。2017年には働き方改革と消費喚起を抱き合わせて政府と経済界がプレミアムフライデーなどと言う付け焼き刃的なキャンペーンを打ち出したが、もちろん導入企業は少なく、顕著な効果も見られない。
働き方改革で目指すべきなのは、少子高齢化が進む日本の労働生産性をいかに向上させるかというテーマと、多様な働き方をどのように創出し受け止めていくかというテーマである。労働生産性の向上策を先行させずに残業禁止を強制しても、生産性はさらに落ちるばかりである。多様な働き方に関しても育休や副業を積極的に容認する企業は出てきたが、まだ一部にすぎない。
残業禁止の強制もプレミアムフライデーも、働き方改革と呼べる効果を生んでいないテレワークも似たような状況だ。多様な働き方の1つであり、都会の通勤事情を考えれば労働負荷軽減にも生産性向上にも寄与できることから取り入れようとする企業が増えている。労務形態としては20年前でもできたことだが、ビデオ会議もモバイルで気軽にできる昨今では、テレワークのICT環境は十分整っていて技術的な問題はまったくない。ところが、実態はうまく行っていない。
もう1つの経営の大きなトレンドにデジタルトランスフォーメーション(DX)がある。2018年9月に経済産業省がDXレポートを発表し、行動を起こさなければ「2025年の崖」に落ちると危機感を煽ったことからブームとなった。しかし、その理解には大いなる勘違いがあり、DXの課題のトップが「業務の効率化」だという、あるアンケート結果には開いた口が塞がらない。
●Next:なぜ人事評価制度の見直しから始めるべきなのか
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