農業機械大手メーカーのクボタは2020年3月17日、独SAPのソフトウェアを用いた基幹システムなどをパブリッククラウドのMicrosoft Azureに移行すると発表した。2025年をめどに移行を完了し、稼働を開始する。また、AIをベースとした新たな製品・サービスを開発し、食料・水・環境の事業分野で展開する。
クボタは、農業機械の提供に加え、水道管から水処理施設にいたる水環境分野の製品を開発・販売している(写真1)。こうした取り組みを加速するため、2016年に米Microsoftと3年間の包括契約を交わした。この提携の下、パブリッククラウドのAzureを利用を開始した。日本と北米においては、独SAPのソフトウェアを用いた基幹業務システムをAzureに移行するプロジェクトにも着手済みである。
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クボタは今回、米Microsoftとの契約を更新し、新たに戦略的提携を交わした。提携の内容は、大きく2つある。ITシステムのAzureへの移行をさらに進めることと、AIを活用した新たな製品・サービスを開発することである。
提携内容の1つは、基幹システムやITインフラのAzureへの移行を進めることである。基幹システムをクラウドに移行することで、業務を合理化し、データ活用をグローバルで統合する。また、Azureに移行してソフトウェアや技術を最新化することで、AIをはじめとする先端技術を活用しやすくなる。これにより、データ活用の規模や柔軟性が拡大する。
独SAPのソフトウェアを用いた基幹システムをAzureに移行するプロジェクトについては、すでに着手済みの日本と北米に加えて、今後は欧州とアジアにおいても開始する。2025年をめどにAzureへの移行を完了し、稼働を開始する予定である。
もう1つは提携内容は、AIを使って新たなイノベーションを創出すること。クボタは、マシンラーニング(機械学習)を活用する「AI Machine Learning Labプロジェクト」を新たに立ち上げる。AIを活用した製品・サービスを開発する技術者の育成や社内の業務革新、食料・水・環境分野における新サービスの構築を目指す。米Microsoftは、Azureで利用できるマシンラーニング機能「Azure Machine Learning」によって、クボタのAIへの取り組みを支援する。