教訓を生かすことでのみ前進できる─アフターコロナに向けた体制・基盤刷新を
2020年4月23日(木)木内 里美(オラン 代表取締役社長)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大が、時々刻々と深刻度を増している。日本国内も現時点では終息に向かう兆しすら見えない状況だが、そんな中で考えるのは、この非常事態・難局をどう捉えて、どう将来に生かしたらよいかということだ。前編に続いて、筆者の考察を記しておきたい。
●前編:思い知らされた社会システムの不出来、旧弊打破なくしてこの国の将来はない
新型コロナウイルスの感染拡大が広がるにつれ、感染症に関する、普段聞き慣れない専門用語がたくさん飛び交うようになった。クラスター、トリアージ、オーバーシュート、ロックダウン、PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)検査などである。一とおり理解できるようになった頃、感染症の専門家が極めて少ないことも知ることになる。
日々患者を診ている臨床医に比べて感染症の専門家・研究者の絶対数が少ないことは、容易に想像できることではある。感染症は類型で分類された多くの種類があり、つど対応する仕組みのようだ。
日本では、新型コロナウイルス感染症は1月28日に政令で指定感染症に定められた。医療体制についても感染症指定医療機関が全国的に少なく、病床の数が意外に少ないことも知った。同時に、感染症に特化したICU(集中治療室)、人工呼吸器、ECMO(ExtraCorporeal Membrane Oxygenation:エクモ=体外式膜型人工肺、図1)などの装備や専門の医師・医療従事者の層が薄く、ドイツのような十分な体制でないことを知って、「医療崩壊」が現実であることも知らされた。
図1:藤田医科大学のWebページは、ECMOを「人工肺とポンプを用いた体外循環回路による治療方法」と説明している。導入目的や送血方法により分類があるという(出典:藤田医科大学 麻酔・侵襲制御医学講座ページ)拡大画像表示
今回、国民の行動は適切だったか?
こういう先の見えない状況になったとき、国民は適切な行動を取れるだろうか? 医療崩壊を防ぐようにするなら、感染や伝染を避けるべく外出を慎み、人と会うことを避け、リスクのあるところには近づかないように自主的に行動しなければならない。しかし残念ながら、この国にはスウェーデンのように幼少期から自主性を重んじる教育を受けて備わるような国民性がない。
結局、自宅待機の自粛要請があっても多くの人が通勤し、土日のスーパーは大混雑し、地元の商店街はごった返し、パチンコ店は盛況──これが4月21日現在の状況である(動画1)。未知のことについて自分で考え、自分で行動する訓練がされていないから、トイレットペーパーの買い占めをするし、納豆が効くらしい、バナナがいいなどと噂が流れれば店の棚からあっという間になくなってしまう。それを情けない姿だと一蹴しても何も変わらない。これが現実なのだから、自主性と主体性を促す教育改革から取り組むことも、コロナ禍が教える教訓の1つではないかと思う。
動画1:渋谷駅前スクランブル交差点の状況を映すライブカメラ映像。都内では主要ターミナル駅付近はさすがにどこも閑散としているが、いわゆる地元商店街のいくつかはかなりの賑わいになっていると報じられている(出典:SHIBUYA COMMUNITY NEWS YouTubeチャンネル)
●Next:アフターコロナを考えるうえで重要なこと
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