[オピニオン from CIO賢人倶楽部]

CIOは洞察力を高めて本質を見抜く力をつけよう

2020年6月22日(月)CIO賢人倶楽部

「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システム/IT部門の役割となすべき課題解決に向けて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見共有を促し支援するユーザーコミュニティである。IT Leadersはその趣旨に賛同し、オブザーバーとして参加している。本連載では、同倶楽部で発信しているメンバーのリレーコラムを転載してお届けしている。今回は、CIO賢人倶楽部 会長 木内里美氏のオピニオンである。

洞察とは何か

 「洞察」とはよく当てはめた漢字だと思う。「洞」は中に何もない虚ろな空間、「察」はよく見ること。何もないような空間でもしっかり観察してみると、物事の実態や本質が見えるようになることを意味している。中国語でも同じ漢字を使う。英語ではinsight、やはり内をよく見ること。フランス語も同じ綴り、同じ発音である。

 言葉から「洞察」と「観察」は関係が深いことがわかる。観察は洞察の基本であり、よく見ることから始まる。しかし見ることは目だけからではないのも重要なことだ。現場を見ると本質がわかるとよく言われる。現場に行くと目に見えるものだけではなく、聞こえる声や音、その場の空気、肌が感じる感覚など五感で感じられるものがある。目に見えないものも見抜くのが洞察という概念である。

 たくさんのものを見たり聴いたりすると、その体験が感覚を磨く。一流のアートや音楽や芸術品にたくさん触れると本物とまがい物の見分けがつくようになる。そのためには基礎知識も必要である。ただ漫然と見たり聞いたりしても感覚は研ぎ澄まされない。背景にある「情報」が重要なのだ。

 骨董屋が真贋を見分けられるのは、知識に支えられたさまざまな情報を基に、たくさんの骨董品を見て、触れて、確かめているからにほかならない。このような積み重ねから洞察が高められ、その洞察力によって、テレビ番組の「開運!なんでも鑑定団」に出てくる鑑定士のように、一見して真贋を見分けられるようになる。

洞察と思考から生まれる予知・予見や予測

 「慧眼(けいがん)」という言葉がある。仏教の教えには「五眼(ごげん)」──肉眼(にくげん)、天眼(てんげん)、法眼(ほうげん)、慧眼(えげん)、仏眼(ぶつげん)の5つの眼(げん)があって、そのうちの慧眼(えげん)と同じ意味だそうである。宗教の教えは常に真理や本質を追求していて哲学のように奥深く、興味深い。

 洞察と同じように本質を見抜く力を意味するが、「慧」には知恵や才知の意味があり思考する概念が含まれる。したがって、見抜くだけではなく将来を見通すこと、つまり予知・予見や予測も意味に含まれている。

 予知・予見や予測は、洞察から思考を経て先を見通すことであるが、それらにおいても情報が重要な役割を持つ。関連する情報収集と蓄積された知識を元に考察を重ねて、まだ起こっていない先のことを推理する。鋭い洞察と思考によってなされる慧眼には論理性がある。

 予知・予見や予測が、直感とか勘によってなされることがある。直感や勘は感覚的な判断であり、論理性があるわけではない。しかし筆者は、直感とか勘は当て推量とは異なり、まったく根拠がないわけではなく、洞察と思考を常態的に行うことによって養われる感覚的な判断力であると考えている。したがって、直感や勘も大切な感覚だと思う。

「慧」は知恵や才知を持って思考する概念が含まれる。見抜くだけではなく将来を見通す、つまり予知・予見や予測の意味も併せ持つ

●Next:すぐれたビジネスリーダーの共通項に高い洞察力と3つの「配り」

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