PwCコンサルティングは2020年8月18日、企業によるユーザー起点のプライバシー対応支援強化に向けて、プライバシーに関するユーザーエクスペリエンス(UX)の調査・分析、およびプライバシー管理の統合基盤構築を支援するサービスを提供開始した。調査・分析からプライバシー管理の統合基盤構築まで一気通貫で支援する。
PwCコンサルティングは、ユーザー起点でのプライバシー対応状況を把握するため、プライバシー管理統合基盤の構築を支援する(図1)。プライバシーに関するUXを調査・分析するとともに、現状を踏まえたうえでパーソナルデータ管理におけるUXおよびデータ管理を高度化する。
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プライバシーに関するUXの調査・分析では、ユーザー起点のプライバシーの観点から、Webサイトやモバイルアプリケーション、コンタクトセンターといった顧客接点におけるUXを評価し、改善施策を提示する。「プライバシーポリシー公開」、「プライバシー設定」、「個人データ管理」の3つの機能に関し、コミュニケーションの平易さ、顧客から期待されるレスポンス提供の可否などを調査・分析する。
評価は、サービス単体もしくはサービス横断(企業や組織単位)で実施可能だ。また、PwCが他社・業界調査結果から作成したベンチマークとの比較も行える。
プライバシー管理統合基盤構築支援では、上記を通じて把握した現状を踏まえ、各企業に最適なプライバシー管理統合基盤構築を支援する。
同基盤により、ユーザー側では、自身による提供データの管理、オプトイン/オプトアウトに対する柔軟な情報連携が可能になる。企業では、ユーザーより連携された個人情報やコンセントマネジメント、各種設定情報などの各種データの集中管理、および用途ごとに整備されたAPIを通じた同データの簡便な活用が可能になる。
背景について同社は、企業活動や顧客体験のデジタル化の進展により、企業によって収集できるユーザーのデータは多様化し、人々のプライバシーに対する意識も変化していることを挙げている。また、欧州では2018年に「EU一般データ保護規則(GDPR)」が施行、日本では2020年6月に「個人情報保護法改正法案」が成立するなど、プライバシー関連法規が厳格化されたことで、パーソナルデータはユーザー自身で管理するものになってきているという。
「同時に、テクノロジーの進化により、プライバシー対応の仕組みをより高度化できるようになったことから、プライバシーへの対応状況が企業の競争優位を作り出すようになっている」という。
「一方で、従来、企業によるプライバシーや個人情報保護は、法令への準拠や情報漏洩防止に向けた対応が主であったことから、プライバシーに対するユーザー意識の高まりを踏まえた対応は遅れており、企業による個人情報の取り扱いや説明責任などに関するユーザーの不安や不満に応えられていないという課題があった」(PwCコンサルティング)。