DX人材の育成について思うこと、「会社の存在意義やビジョンこそが重要である」
2021年3月15日(月)CIO賢人倶楽部
「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システム/IT部門の役割となすべき課題解決に向けて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見共有を促し支援するユーザーコミュニティである。IT Leadersはその趣旨に賛同し、オブザーバーとして参加している。本連載では、同倶楽部で発信しているメンバーのリレーコラムを転載してお届けしている。今回は、TERRANET 代表 寺嶋一郎氏によるオピニオンである。
コロナ禍の第3波で始まった2021年は、どんな年になるのだろうか。IT分野におけるキーワードが引き続きデジタルトランスフォーメーション(DX)であることは間違いないだろう。コロナ禍で、世の中はデジタルで繋がっていることが主で、リアルで会ったり買い物したりすることが従となる「アフターデジタル」の世界に足を踏み入れつつある。
コロナ禍以前に、近い将来にそうなると予想された世界がすでに到来してしまったのだ。将来に備えてDXを推進するのではなく、今すぐにDXに取り組まなければならなくなり、もはや待ったなしの状態である。2020年9月に発足した菅義偉政権の目玉政策の1つにデジタル改革が掲げられたことも、それに拍車をかけている。
DXとは、企業の組織・制度や社員のマインドセットなどから醸成される文化や風土を、デジタル技術を前提にして丸ごと変えていくことだと筆者は考えている。「デジタル技術を前提にする」とは、デジタル技術がもたらす新しい常識、すなわち社会/経済活動のあり方や、人の価値観/行動様式、競争優位の根本が、デジタルによって変わってしまう状況に企業がきちんと適応することである。デジタル技術がもたらす新たな常識に合わせて、企業全体が丸ごと変わることで、その結果としてビジネスをデジタル化することもできるわけだ。
そのためには、顧客や市場の変化にアジャイルに対応できなければならない。そして常に新たなデジタルビジネスやイノベーションを生み出し続けていかなければならない。今、利益を生んでいる既存の事業を深化させ、変化させていくとともに、新規事業も探索していく必要がある。
大量生産の時代においては、指示されたことをいかに早く正確に実行するかが問われた。時代は変わり、今では顧客が求める価値を追求して提供し続けなければ企業は継続できない時代となった。人は何を知っているかではなく、AIやロボットではできない何をやるのかが大事になる。自ら問題を発見し解決し、新たなものを生み出していく能力こそがDXには求められるのだ。
●Next:企画から実行までをコーディネートする“センス”の力
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