アイ・ティ・アール(ITR)は2023年3月23日、国内におけるERP市場の推移を発表した。ERP市場の2021年度の売上金額は1467億円、前年度比16.3%増だった。各種法制度の改定対応や老朽化したERPシステムの更改プロジェクトが増えたことから2ケタの成長を回復した。2022年度も同様の動きが続いており、同12.1%増を予想している。また、同市場のCAGR(2021~2026年度)は10.5%を予測している。
アイ・ティ・アール(ITR)が発表した国内ERP市場調査の結果によると、ERP市場の2021年度の売上金額は1467億円、前年度比16.3%増だった。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて低調な伸びにとどまったが、2021年度は各種法制度の改定対応や、老朽化したERPシステムの更改プロジェクトが増加し、2ケタの成長を回復した(図1)。
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ITRは、2022年度も2021年度と同様の動きが続いているとして、2022年度の売上金額を前年度比12.1%増と予測。ERPへの投資の増加傾向は当面継続すると見ており、同市場のCAGR(2021~2026年度)は10.5%と見積もっている。
ERP市場を、パッケージとSaaSの提供形態別で比べると、2021年度のパッケージ市場は前年度比6.0%増、SaaS市場は同32.7%増となった。主要ベンダーが新規案件でSaaSでの販売を推進していることから、CAGR(2021~2026年度)ではパッケージ市場は-1.2%、SaaS市場は+20.5%と予測している。
パッケージ市場をユーザー企業の運用形態別に見ると、オンプレミスは2020年度から2021年度にかけてマイナス成長が続いたが、IaaSは成長を維持している。2022年度以降もこの傾向が続くと見ている。「近年、基幹システム全般でIaaSを選択する企業が増加傾向にあるERPパッケージの稼働環境としてもIaaSを選択する企業が主流となる」(ITR)という。
「データドリブン経営の実現に向けて、ファクトデータを迅速に把握するための基盤としてERPを位置づけることが企業の共通認識として浸透してきた。データドリブン経営の基盤としてすぐれるクラウドERPの選択が今後も増える」(ITR)
今回の発表は、ITRの市場調査レポート「ITR Market View:ERP市場2023」に基づいている。同レポートは、ERP市場を対象に、国内51ベンダーへの調査による2020~2021年度売上げ実績および2026年度までの売上げ予測を掲載している。