矢野経済研究所は2026年5月29日、コールセンターサービス事業者が提供するAIサービスの国内市場規模に関する調査結果を発表した。2024年度の国内市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比150.0%の90億円だった。2023年度から2029年度まで年平均31.7%増で推移し、2029年度は313億円に達すると同社は予測する。
矢野経済研究所は、コールセンターサービス事業者が提供するAIサービス(AI技術を活用してテキストまたは音声で人と対話するサービス)の国内市場規模を調査した(図1)。調査は2025年9月から2026年3月にかけて、同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)やWebアンケートを中心に、文献調査を併用して実施した。
図1:コールセンターサービス事業者が提供するAIサービスの国内市場規模(出典:矢野経済研究所)拡大画像表示
市場規模には、コールセンターサービス事業者が顧客企業のコールセンター向けに提供するAIチャットボットなどの売上に加え、サービス導入後のチューニングといった運用業務の売上も含まれる。対象の事業者は、コールセンターサービスやコールセンター向けサービスを提供する事業者と、IT系や印刷系その他のアウトソーシング事業者である。
2024年度の国内市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比150.0%の90億円へと拡大した。同社によると、同市場はコロナ禍に大きく成長した。2023年度は、コロナ禍の行動制限などは緩和されたものの、オペレータ人材が不足した状態だったため引き続き拡大した。また、テレワークが定着したことで顧客接点が多様化し、AIサービスのニーズが拡大した。2024年度は、生成AIの普及により、業務の効率化を求める企業が増えた。
2025年度以降は、対話内容の自動要約・記録などによる業務負荷軽減だけでなく、感情分析によって満足度をリアルタイムで把握しながら顧客に対応するなど、AIの対応範囲がサービス品質の向上にも広がるため、AIサービスの活用がさらに進む。今後、ハルシネーションのリスクを管理する手法が確立されてくれば、AIサービスの導入はさらに増える。こうした展望から、2023年度から2029年度までの年平均成長率(CAGR)は31.7%で推移し、2029年度の同市場規模は313億円に達すると同社は予測する。
なお、一般企業のコールセンター部門に生成AI活用サービスの導入状況を聞いたところ、「導入している」が19.0%、「導入していないが、導入の予定はある」が30.0%だった(図2)。
図2:一般企業のコールセンター部門における「生成AI活用サービス」の導入状況(出典:矢野経済研究所) 業務別では、「導入している」は「受注センター」が若干高く35.3%だった。「導入していないが、導入の予定はある」は「ヘルプデスク」「問い合わせ対応」「営業アウトバウンド」が33%から34%台と高かった。総席数別では、総席数「100席以上」と比較的規模が大きい方が「導入している」割合が高かった。「99席以下」の中小規模では半数以上が「導入しておらず、導入の予定もない」と回答した。
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