[エンタープライズ・システムのためのWeb 2.0]

エンタープライズ2.0で変わる企業情報システム

2007年9月16日(日)IT Leaders編集部

昨今、「エンタープライズ2.0」というキーワードが注目され始めている。なぜ今エンタープライズ2.0なのか。その理由を探るには、企業の情報システムを取り巻く、いくつかの変化に着目する必要がある。まず、社員のプライベート時におけるインターネットの利用形態が変わってきたことが挙げられる。

なぜエンタープライズ2.0が注目されているのか?

昨今、「エンタープライズ2.0」というキーワードが注目され始めている。なぜ今エンタープライズ2.0なのか。その理由を探るには、企業の情報システムを取り巻く、いくつかの変化に着目する必要がある。

まず、社員のプライベート時におけるインターネットの利用形態が変わってきたことが挙げられる。昨今では、多くの社員は自宅でmixiを利用し、Skypeでチャットし、Googleで検索し、Wikipediaで調べ物を行うのが当たり前のこととなっている。それにも関わらず、職場ではSkypeの利用が禁止されていたり、ファイルサーバーを検索できなかったり、メールへの添付ファイルの容量に制限があったりと旧態依然としている。その結果、職場とプライベートで差ができてしまい、社内の情報システムを使いづらく感じる社員も少なくない。

もう1つの要因として挙げられるのがGoogle Appsの登場だろう。企業向けのエディションである「Google Apps Premier Edition」はセキュリティフィルタリング機能やアーカイブ機能を搭載したメールサービス「Gmail」やMicrosoft WordやExcelのようなアプリケーションサービス「Docs & Spreadsheets」など、企業で利用頻度の高いアプリケーションをセットにした企業向けのASP型のサービスである。

単なるフリーメールとは異なり、メールの稼働率99.99%を保証するSLA(Service Level Agreement)があるうえ、APIも公開されているので既存システムと統合させることもできる。これだけの機能を搭載していて、1アカウントにつき年間6,000円という破格の価格で利用できる。これは、1人あたり年間10万円程度ITにコストがかかっている場合、1万人規模の会社の場合10億円かかるコストを、このサービスに乗り換えると年間6,000万円で済み、年間9億4,000万円のコスト削減を行えるということを意味する。

Googleが広告という本業で利益を上げているからできることであり、このサービスはある意味副業と言えるのだが、これまでエンタープライズ製品を提供してきた企業には脅威となる価格設定と言えるだろう。

こうした要因が、企業の目をエンタープライズ2.0に向けている理由と言えるのではないだろうか?

ウェブとエンタープライズとの違い

では、このように注目を集めている「エンタープライズ2.0」とはどのようなものなのだろうか? 端的に言って、エンタープライズ2.0は、集合知、マッシュアップ、永遠のベータ、ロングテールといった特徴を持つ「ウェブ2.0」の考え方やテクノロジーをエンタープライズ(企業)に導入しようとする流れのことを指す。

しかし、ウェブ2.0の代表的なテクノロジーであるブログやRSSを企業内に導入すればいいという単純なものではない。なぜなら、ウェブと企業は基本的に考え方が違うからだ。

たとえば、Amazonはニッチな商品で多くの売上をあげるロングテールの例としてよく紹介される。これは、インターネットには無限と言えるくらい多くのユーザーがいるからで、1%くらいのニッチな市場でも数は多くなる。しかし、1000人の会社の1%は10人にしかならず、意味のある数にはならない。たとえば、社内にWikiを導入する例で考えても、10人程度が書いた情報が会社全体にとって役に立つ情報になるとは言えないだろうし、1%の人しか活用しない情報システムはコストに見合っているとは言えない。せめて80%くらいの社員が利用するようなシステムでないと導入は難しいだろう。

また、ウェブの場合は楽しい、面白いという感覚が利用動機となるが、企業ではそうした利用動機はなじまない。

さらに、ウェブが落ちてもそれほど問題にはならないのに対し、企業ではSLAに基づく高い品質が求められるなど、要求されるサービスレベルも異なる。

このようにウェブと企業では異なる部分が多いが、関係ないわけではなく、適用可能なことは多くある。企業の風土を踏まえたうえで、うまく運用することで、企業の情報システムを進化させることができる。


図1:ウェブとエンタープライズとの違い

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