2009年4月から、受託ソフトウェア開発に「工事進行基準」が適用される。これまでのように、開発終了時点で売り上げや経費をまとめて計上する方式は原則採れなくなり、普段から原価管理を含む厳密なプロジェクト管理が不可欠となる。こうした動きに呼応して、プロジェクト管理ソフトの機能が充実してきた。最新製品を一覧しつつ、選択のポイントを探る。
この記事を読んでいるのが2008年12月1日だと仮定すると、残すところわずか120日。2009年4月1日以降に開始となる会計年度から、受託ソフトウェアの開発に、いよいよ「工事進行基準」が適用となる(下欄カコミ記事参照)。
工事進行基準とは
工事にかかわる会計上、企業に収入が発生(対価を財務諸表に記載)するタイミングをどうとらえるかを定めた基準の1つ。すべて完成した時点とするのが「工事完成基準」であり、完成に向けた過程で徐々に発生するとするのが「工事進行基準」だ。
「工事」という言葉から土木・建築の現場をイメージする人も多いだろうが、ソフトウェアの受託開発にも原則として適用されることが決まった。
例えば数年に及ぶ開発プロジェクトの場合、発注企業との契約で将来的に対価が得られることがほぼ確実視できる。だが、その完了を待って計上する完成基準では、途中は経費ばかりが出ていき収入はゼロのまま。これでは会計上と本当の経営実態が乖離してしまうことが問題となる。そこで、土木・建築やプラント建設、造船など長期請負工事の分野で採用されている進行基準の考え方を取り入れることになった。欧米では既に導入されており、グローバルスタンダードに沿った動きでもある。
工事進行基準は企業の情報システム子会社やシステムインテグレータなどに、プロジェクト管理体制の大きな変革を迫る。これまで多くの開発会社は、システム完成後にまとめて売り上げや経費を計上していた。発注企業との仕様の詰めが甘くても、まずはプロジェクトを開始してその途上で詳細を固めていくといったことも珍しくはなく、収支の面でも「どんぶり勘定」がまかり通っていた。
開発プロジェクトの進捗に合わせて売り上げを“分割計上”する工事進行基準は、あいまいな管理を許さない。収益総額の事前確定や正確な原価見積もりが不可欠となり、開発業務の進捗管理にも高い精度が要求される。
こうした中、にわかに注目を集めているのがプロジェクト管理ソフトだ。工事進行基準の本格適用を視野に入れて機能拡張を図る製品が出てきたのをはじめ、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形式で提供されるものも登場し、機能や導入形態のバリエーションが広がっている。企業のIT部門にしても、発注先が活用しているプロジェクト管理ソフトが分かれば、開発途上での打ち合わせや進捗確認などがより精緻なものになるはずだ。
原価管理など進む機能拡張
プロジェクト全体を複数の工程に分割し、それぞれの進捗状況を計画と実績を照らして把握するのがプロジェクト管理ソフトの中核機能だ。これに加え、予算や実績原価、収益を把握する「原価管理機能」、予算の承認ワークフローや情報共有のための「コミュニケーション機能」といった面で多機能化が著しい(表1、2)。さらに複数プロジェクトを横断的に管理して、投資やリソース配分の優先順位を検討するプロジェクトポートフォリオ管理(PPM)機能を備える製品も注目を集めている。
プロジェクト管理ソフトの市場を見ると、様々な機能を統合したスィート製品がハイエンドに位置付けられる一方、スケジュール管理や収益管理などに機能を絞った製品、特定の機能に重点をおいた製品などが裾野を広げている(表3)。簡易な機能については、グループウェアやERP(統合業務管理)ソフトウェアの1つのモジュールとして提供されているものもある。
プロジェクト管理ソフトを使って工事進行基準を適用するには、「原価総額」「収益総額」「決算日における進捗度」の3つを、正確に把握できなければならない。
原価・収益総額の把握には、プロジェクトで必要となる作業や人員などを事前に勘案して、どの程度のリソースが必要となるかを見積もって入力することが不可欠となる。その上でプロジェクトの進み具合を見える化することはもちろん、実際に発生したコストを随時正確に把握できなければならない。計画変更があった場合には、予算に迅速に反映する機能も欠かせない。
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