山場の分かる計画とは プロジェクトは時間との闘いだ。しかし、メンバーを「まだか、まだできないのか」とせきたてるのは逆効果。時間に追われ続けると、メンバーはいつかやる気を失う。チームを率いるマネジャーやリーダーはタイムマネジメントの重要性や具体的な実践法を伝えて、メンバーの主体的な行動を促すべきだ。
「『今日中』とは『明日の朝まで』という意味である」。これは、IT業界の格言の1つだそうだ。あるシステム開発会社の役員が、失笑まじりに教えてくれた。これを聞く限り、どうやらITに関わる人たちは時間に対する意識があまり高くない人が多いようである。
しかし、「タイムマネジメント」は、ビジネスパーソンのモチベーションを高く維持するための重要なファクターであることは言うまでもない。そこで今回は、メンバーの時間に対する意識を高めてチーム内にタイムマネジメントを根づかせるために、ITリーダーは何をすべきかを考える。
先を読んで行動できる
リーダーはまず、タイムマネジメントによってどんな“果実”を得られるかをメンバーにしっかり伝える必要がある。筆者が考えるタイムマネジメントのメリットは、大きく4つある(図1)。第1に、仕事が楽しくなる。常に時間に追いかけられる状態では、仕事を「やらされている」という気持ちになり、ストレスがたまる。しかし、時間を資源として活用できればストレスから解放される。時間に振り回されず、自分で計画して主体的に仕事に取り組めるからである。

タイムマネジメントがもたらす第2のメリットは、先読みできるようになることである。時間を効果的に使うには、様々な思考をめぐらさなければならない。このため、物事を上下左右あらゆる局面から見て判断する深層思考が身につき、将来起こり得るリスクを想定しながら仕事ができるようになる。第3に、タイムマネジメントを実践すると可処分時間が増える。その分を読書や研修などに充てることで、新しい知識や技術をインプットできる。家族や友人と過ごす時間も増える。
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