イノベーションにまつわる6つの誤解を解く
2009年9月1日(火)CIO INSIGHT
「イノベーション」という言葉の意味を問えば、CIOの数だけ別の回答があるだろう。あなたがイノベーションに関して持っている知識が、すべて正しいとは限らない。CIO INSIGHTでは、専門家やCIOへのインタビューを基に、イノベーションにまつわる誤解をまとめた。(1)イノベーションの原動力はテクノロジーである、(2)イノベーションを追求すれば必ず現実のものとなる、(3)イノベーションの閃きは部外者の知見によってもたらされる、(4)ビジネスプロセスを社員にオープンにすると問題が起きる、(5)ITをビジネスに生かす方法はベンダーの方がよく知っている、(6)緊縮予算はイノベーションへの取り組みを阻害する、という6つの間違った理解だ。
誤解その(1)
イノベーションの原動力はテクノロジーである
多くの人がこの手の話を聞いたことがあるだろう。簡単に忘れてしまいがちだが、テクノロジーはイノベーションを実現する手段に過ぎない。ソーシャルネットワークやクラウドコンピューティング、仮想化といったトレンド技術は、イノベーションの本質ではない。
実際、闇雲にテクノロジーに手を出してしまうと、イノベーションの効果が拡散したり、希薄化してしまうだけでなく、余計な管理対象が1つ増えてしまうだけ、という結果に陥る可能性もある。保険業であるICWグループのケビン・ハリスCIOは、「多くのCIOは、採用すべきテクノロジーは決めていても、それで何を実現すべきかまで明確化できていない」と指摘する。
誤解その(2)
イノベーションを追求すれば必ず現実のものとなる
不幸なことに、正しいと思ったことをいくらやっても結果が伴わないことがある。企業はイノベーションチームを組織したり、従業員に興味あるアイデアを考えさせることはできる。だが本当に必要なことは、従業員が果敢にリスクをとったり、不確かなアイデアであっても追及してみたり、失敗を恐れなくてよい環境を用意することだ。アイデアを罵倒したり愚弄するような会議は、イノベーションの努力を無にする。「自由にものが言えない環境では、イノベーションは期待できない」とハリス氏は語る。
一方で、実現が難しいアイデアは早めの撤退が肝心だと同氏は指摘する。「何がうまくいき、何がうまくいかないかを常に分析し続けることが重要だ」。
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