システムの受託開発を本業にする情報サービス企業の関係者と話をすると、総じて元気がない。昨今の経済環境の影響だけではなく、筆者が情報システムの仕事に就いてからずっと続いている。
最前線の営業担当者はいくらか元気があるように見えるが、彼らにしても将来を見据えた話を出来る人は少なく、目先の案件と目先の売り上げばかりを気にする。ノルマを考えれば致し方ないところもあるが、何より気になるのは自らの職業や産業を、卑下しているような雰囲気を感じることだ。「卑下も自慢のうち」であるならまだしも、自信やプライドを失っているようなのである。そんな中で、たまにプライドを持って語る技術者や将来を見据えた経営者にお会いすると、まだまだ捨てたものじゃないとホッとする。
問われる産業としての魅力
ITと言えば技術革新の最先端である。日本のウリである製造業は全てその技術革新に頼っている。そのITを提供する情報サービス産業は、本来は知的でクリエイティブで、しかも面白い仕事のはずだ。にもかかわらず魅力的に見えず、学生など若い人に人気がない。何故だろうと仮説と検証を繰り返していると、思い当たることがいろいろ出てくる。
学生は就職先を選ぶ際に、産業としてのステイタスや処遇、将来性などを漠然と感じて判断している。情報が少ないから、近視眼になるのは仕方ない。だから景気や時代の流れによって人気産業や人気企業がよく変わる。安定を望んで公務員など行政職を選択する学生もいるし、高い給与や仕事のダイナミックさを望んで金融系を目指す人もいる。
そうした中で優秀な学生を呼び込むには、まず産業としての魅力を示さなければならない。賃金が良いかは気になるだろう。労働環境ややり甲斐も気になる。産業としての将来性や、尊敬できる経営者が輩出されていることも重要だ。情報サービス産業は、これらをどれだけ満たしているのだろうか?
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