ハウス食品が、ダイエット支援サイト事業に本格参入した。ユーザー1人ひとりを意識した手厚いサポートをWeb上で実現するため、米国のeコマース(EC)ソフトを入念にカスタマイズ。プロジェクトメンバーは、開発中の仕様変更や突然の期限前倒しといった困難にめげず、予定通りに新サイトをサービスインさせた。聞き手は本誌副編集長・川上 潤司 Photo:陶山 勉
- 佐藤 典彦 氏
- ハウス食品 健康食品部 開発マネージャー
- 製品企画・開発部署での業務歴は約20年。2006年にニュートリシステムJ−ダイエット事業のベースとなる企画を立ち上げた後、同事業の企画・運営全般の担当マネージャーを務めている
- 徳倉 洋太 氏
- ハウス食品 健康食品部 ブランドプランナー
- 調査セクションを経て、2008年4月に健康食品部に着任。現在は、ニュートリシステムJ−ダイエット事業におけるECシステムやユーザーサポート、マーケティングなどのプランニングおよび運営を担当している
- 山内 理史 氏
- 理経 執行役員 技術開発部 部長
- 1987年4月に理経入社。旧ディジタル・イクイップメント社製品を担当した後、企画開発部でオープン・システム製品の開発業務に従事。現在は、技術開発部において先進技術を基盤としたシステム企画開発を担当している
- 寺尾 圭太 氏
- 理経 技術開発部 SI開発グループ グループ長
- 2003年4月に理経入社。主にATG製品を用いたコマースシステムやナレッジマネージメントシステム、メール配信システムなどの導入を手がける。今回のプロジェクトでは、PMとして開発チームを率いた。現在、ニュートリシステムJ-ダイエットの次のフェーズに向けて、案件開発に当たっている
─ 2009年10月にダイエット支援サイトを立ち上げたそうですね。
佐藤: はい。「ニュートリシステムJ-ダイエット」という名称です。これは単なる物販サイトではありません。肥満解消を目的に、30品目の低カロリー食品とサポートをセットにしたプログラムを販売するサイトです。商品購入者に対しては、ダイエットプランのほかカウンセリングを提供します。
─ 具体的には?
佐藤: 商品購入後、ユーザーは現在の体重や目標体重、日々の運動量などをWeb上の問診票に入力します。それに基づき、管理栄養士がユーザー1人ひとりの体重や嗜好にあったダイエットプランを作成。電話やメールでの問い合わせにも何度でも応じます。
─ 商品を一方的に売るのではなく、ユーザーとの双方向性を重視している。
佐藤: そういうことです。おすすめ商品や、ダイエットのワンポイントを表示する機能も備えています。
─ サービス対象は、商品購入者だけ?
徳倉: いいえ。毎日の食事内容や運動を記録できる日記機能は、サイトに登録すれば誰でも利用できます。
手厚いサポートが強み、ビジネスの柱に育てたい
─ ここで、新規事業に取り組んだ背景を教えてください。
佐藤: ここ数年、健康ブームが続いています。メタボリック症候群が保健指導の対象になったことも、これに拍車をかけました。こうしたなか、従来の若い女性向け美容ダイエットに加えて、健康への関心が高い中高年向けのダイエット市場が新しく育っていくだろう。そんな展望からです。
─ サイト立ち上げにあたり、米国企業と提携したと聞きました。
佐藤: 米ニュートリシステム社です。ダイエットの先行市場である米国では、30〜40年前からダイエットをテーマにした商品や企業が成立していました。長い歴史の中でトライアンドエラーを繰り返しており、膨大なノウハウの蓄積がある。それを日本で活用させてもらおうというわけです。
─ 新サイトには、どれくらいの人が携わっているんですか。
佐藤: 現在、企画担当者は私や徳倉を含めて6人います。でもその背後には、社内外の数百人がかかわっているんですよ。研究所で商品開発にあたる担当者、工場で実際にモノを作る製造担当者、パッケージのデザイナーなどなど。もちろん、システム部門もセキュリティ面などで支援してくれています。
─ それだけの人が新サイトへと力を結集した。新規事業に対する社内の期待は高いということ?
佐藤: 当社の成長ドライバーという位置づけだと考えていただいて結構です。
●Next:ハウス食品のECサイト構築プロジェクトの経緯
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