協力会社を合わせて100人以上のITエンジニアを率いる身として、「軸足をぶらさない」「逃げない」「他責ではなく自責で考える」の3つを心がけています。こうしたマネジメントスタイルは、2人の上司による“OJT”で培われたところが大きいですね。
協力会社を合わせて100人以上のITエンジニアを率いる身として、「軸足をぶらさない」「逃げない」「他責ではなく自責で考える」の3つを心がけています。こうしたマネジメントスタイルは、2人の上司による“OJT”で培われたところが大きいですね。
1人は、欧州日産での上司であるアラン・カー氏です。厳しい人でね、ずいぶん鍛えられました。着任早々「役に立たなかったら、すぐ日本に帰ってもらう」と宣告されたのは忘れられません(笑)。でも、4年の駐在期間を終えて帰国する際には「君になら戦場でも安心して背中を見せられる」と言ってくれた。うれしかったですね。
日産グループにおいてオートローンやオートリースなどの金融サービスを提供する今の職場に移ってからは、当時システム担当の常務だった上浦 原さんの薫陶を受けました。面倒見のいい人で、部長としての心得を惜しみなく伝授してくれた。部長としてのものの考え方や視点を学びました。上浦さんの一言一言を、今でもことあるごとに思い出します。
2人の師のおかげで、部長としてなんとかやってこれました。最近では、仕事の中でリーダーとしての手応えを感じる瞬間もたまにあります。ただ、そこで慢心しては裸の王様になってしまう。リーダーシップ関連の書籍をよく手に取るのは、そんな危機感からです。「自分はリーダーとしてまだまだだ」という自戒を促す鏡になりますから。今日は、そのなかから2冊を紹介します。
「リーダーとは何ぞや」。この難問を考えるヒントを与えてくれるのが、「リーダーの教科書」です。リーダーとしての心得や認識、スキルを明快に述べています。体系立てて書かれていて分かりやすいので、忙しい人にもおすすめです。実際、後輩数人にプレゼントしました。特に、「キャリアづくりのVSOP」は参考になります。20歳代はVitality(活力)、30歳代はSpeciality(専門性)、40歳代はOriginality(独自性)、50歳代はPersonality(人間力)を身につけるべき。著者はそう言います。それぞれの頭文字をとってVSOPというわけ。50歳代に向けて、どうやって人間力を形成するか。私の今の課題ですね。
2冊目は「将の器 参謀の器」です。副題に「あなたはどちらの“才覚”を持っているか」とありますが、読み進めると単なるタイプ分けの話ではないことがすぐに分かります。マネジメントに携わる者は、2つの才覚を兼ね備えるべきだということを述べているんですよ。歴史上の人物のエピソードを引用していて、説得力がある。自分は担当部署の将であると同時に、会社という組織のなかでは経営層を支える参謀なんだ。この本を読んで、そんな自覚を強めました。
リーダーだけでなく、若い人からベテラン社会人まで、あらゆる層にとって参考になる1冊も挙げましょう。「汗出せ、知恵出せ、もっと働け!」は、伊藤忠商事の会長である丹羽宇一郎さんがビジネスマンの品格について直球で語った講義録です。私にとってストライクだったのは、「感動という栄養を与えて心を豊かにする」「働くとは、傍(はた)を楽(らく)にさせること」というくだりです。心のど真ん中に響きました。
童門 冬二 著
ISBN:978-4413092142
青春出版社
570円
丹羽 宇一郎 著
ISBN:978-4163695907
文藝春秋
1300円
- 米村 嘉一 よねむら・よしかず
- 日産フィナンシャルサービス 情報システム部 部長
- 1985年に日産自動車に入社。海外業務部での勤務を経て、90年に情報システム本部に配属。2001年、欧州日産の情報システム部に出向した。2005年に帰国後は日産フィナンシャルサービスに出向し、2006年から現職。2008年からは日産自動車グローバル情報システム本部の販売金融システム部主管を兼務している
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