[河原潤のITストリーム]

生産性倍増への試みを支えてくれる“ファイル指向”ツール:第10回

2010年3月10日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

IT Leadersウィークリー・コラムに拙稿を寄せている一方で、編集部随一のライフハッカー、川上副編集長が綴る「編集部の生産性倍増奮闘記」を毎回楽しみに読んで参考にしています(そう、当ウィークリー・コラムの“役に立つほうのコラム”です)。今回は私も負けじと(負けますが)、情報ワーカーの生産性について思うところを書いてみようと思います。

 個人的な感覚になるかもしれませんが、私にとっての生産性の維持・向上のカギは、「各タスクのレジュームを強く意識して、それぞれのタスクにかける処理・思考の連続性を守る」ことです。もう少し伝わるように言いますと、「出かけようが、来客があろうが、突然新しいタスクが降ってこようが、あるいは過剰なマルチタスクに陥ろうが、常に各タスクの中断と再開をスムーズに行うことを心がけて、各々展開中の処理・思考を極力停滞させないようにする」ということになります。

 外出、来客、外線・内線電話、優先度の高い業務の突発的な発生、あるいは自身の体調不良…ビジネスの現場はたいてい、タスクの処理が、別のタスクや予期せぬ事態によって中断/遅延させられるような状況にあります。そんな中で、特に思考がメインの作業の場合、いったん中断すると、再開してエンジンがかかるまでに随分時間がかかってしまうという経験は誰もがお持ちでしょう。私は、これこそがタスク停滞を招く根源だと特定し、ならば、レジュームのプロセスをより強く意識するしかないと考えるに至りました(表現が大げさですが、単純な話ですね……)。

 スムーズなレジュームを実践するうえでは、やはりノートPCが欠かせません。作業中断となり、少し席を離れるときも、場所を移動するときも、そのままモニターをパタンと閉じるだけ。ここでファイルを閉じたり、PCの電源を切ったりしないことが大事です。特にとっつきにくいタスクのとき、再開までのわずかな間に雑念が入るなどして、エンジンの再始動に影響を与えるおそれがあるからです。

 加えて、タスクのスムーズなレジュームを支えてくれるアプリケーション/ツールも多く登場しています。今ですと、生産性倍増奮闘記の第1回でも紹介されたオンライン・ノート・アプリケーションの「Evernote」と、オンライン・ファイル同期ツールの「Dropbox」がこの分野の双璧と言えそうです。共にマルチプラットフォームのクラウド・アプリケーションである両ツールの利点は、ユーザーがどんな場所にいても、どんなマシンを使っていても、ファイルの置き場所を気にすることなく、一貫して同じ文書/ファイルを更新し続けられるところにあります。

 『PCやアプリケーションは実行環境にすぎず、ファイルやデータがあくまでも主役。ユーザーはいつでもどこでも、ファイルの作成・更新にひたすら専念せよ』―“ファイル指向”あるいは“ファイル主義”とでも呼べばよいのでしょうか、EvernoteやDropboxを使っていると、私はそのように言われている気になります。実行環境と便利な道具はそろっているのだから、あとは言い訳することなく、自身の生産性をしっかり高めていかなくてならないと思う次第です。

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