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ザッポスの奇跡-アスクル 小河原 茂 氏が選ぶ1冊

2010年7月28日(水)

米アマゾンは2009年7月、靴をネット販売する米ザッポスを、総額8億5000万ドルで買収すると発表しました。「ザッポスの奇跡」は、同社を徹底研究した1冊です。

ザッポスの奇跡ザッポスの奇跡
石塚 しのぶ 著
ISBN:978-4862234056
東京図書出版会
1575円

ザッポスを特徴付けるのは、常識を越えた顧客サービス。同社の社員は、顧客のために何ができるかばかり考えているんです。例えばあるとき、顧客からコールセンターに注文の電話が入ったが、その商品の在庫を切らしていた。応対した担当者は、どうしたと思います? 競合サイトを検索して、どこで目当ての商品が手に入るか顧客に伝えたというんですよ。自社の売り上げより、顧客の喜びを優先する。「顧客に感動を与える」という企業理念を端的に示すエピソードです。通販業を営むものとして、大いに刺激を受けました。

自宅のロフトに作りつけた本棚の中は、ほぼ100%歴史物。組織を率いるうえで、歴史から学ぶことは多いですよ。「失敗の本質」は、太平洋戦争を日本軍の戦略や組織面から分析。日本を敗戦に導いたのは、縦割りと年功序列で硬直化した組織だったことを明らかにしています。戦中の様々な局面を取り上げていますが、そのなかからミッドウェー海戦を例に挙げましょう。

この海戦は当初、日本が優勢と見られていましたが、大敗北を喫しました。縦割り組織のなかで情報の流通が滞っていたからです。第一線の艦隊は司令部の目的をきちんと伝えられぬまま出撃。結果的に、ミッドウェー島と米空母に対する2正面作戦を採らざるを得なくなった。日本は空母4隻を失い、敗戦へと向かいました。あの敗戦は、組織の未熟さが招いたものだったんです。

でもね、日本は昔から組織作りが下手だったわけではないんですよ。日露戦争時代の日本は、優れた挙国体制を作り上げていました。そのことは、「坂の上の雲」に詳しい。

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