システム再構築を進めるGDOは2010年5月、プロジェクト全体のスケジュールを大幅に見直した(図)。設計を完了した部分から順次開発に着手するという“五月雨式”の旧スケジュールに潜むリスクを問題視したからだ。新たな稼働予定は、2011年7月である。
SAP ERPの導入をミッションとするMSプロジェクトが再始動したのは5月21日。心機一転、約3カ月にわたる基本設計フェーズを開始した。
MSプロジェクトでは、SAPの会計モジュールの導入に携わるチームのほか、周辺システムを担当する4チームが動いている。ユーザー管理や構成管理といったSAP ERPの基盤部分を構築するBASISチーム、予算管理ツールの「SAP BPC」を導入するBPCチーム、マイクロストラテジーのツールを用いてBIシステムを構築するBIチーム、そしてワークフロー刷新チームである。
プロジェクトの原点に立ち返る
ワークフローを巡っては、紆余曲折があった。プロジェクト開始時は、SAP ERPのワークフロー機能を利用する予定だった。しかし、使い勝手の点でどうしても不満が残った。例えば、社内規定や組織に変更が発生するたびに、SAPのパラメータを設定し直さなければならない。「我々が求めていたのは、Salesforce CRM並みのエンドユーザーコンピューティング環境。SAPのワークフロー機能は、そのレベルに達していなかった」(IT戦略室の志賀智之室長)。別のワークフローツールも検討したが、GDOのニーズを満たすものではなかった。
このため、要件定義の段階でワークフローシステムの導入は白紙に戻りかけた。「使いにくいシステムを導入するより、従来から使っているりん議システムをしばらく使い続けるほうが得策ではないか」。志賀室長は弱気になっていた。しかし、大日健CIOは首を縦に振らなかった。「GDOが会計システム刷新に踏み切ったそもそもの発端は、ワークフロー改善へのニーズだった。そこを端折るわけにはいかない」(大日CIO)。
業務プロセスを自動化して生産性を向上させたい。そのためには会計システムを見直す必要がある。こうした思いの発展形が、MSプロジェクトにほかならない。大日CIOの説得を受け、そう思い直した志賀室長は6月、改めてワークフローツールベンダー6社に提案を依頼。システム間連携のしやすさと、開発・ライセンス込みで数千万円という費用を評価して、「intra-mart」と画面作成ツールの「IM-Visual Designer」という組み合わせを採用した。
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