2010年1月から、企業の役員や部長が30人ほど集まる勉強会に参加しています。開催は毎月1回、第2土曜日の9時から18時。1年にわたって、マネジメントについて学びます。
2010年1月から、企業の役員や部長が30人ほど集まる勉強会に参加しています。開催は毎月1回、第2土曜日の9時から18時。1年にわたって、マネジメントについて学びます。
勉強会では毎月、課題図書を渡されます。なかなか手強いものが多く、読むのに四苦八苦していますよ。哲学書とか、ドラッガーの論文集とか。
そのなかで、企業人として大いに勇気づけられたのが、野中郁次郎氏の「知識創造企業」。ホンダ・シティの開発プロジェクトなどを例に、個人ではなくグループで知恵を出し合う日本型の知識創造を論じた1冊です。私たちは、日本ならではの人材育成や商品開発にもっと自信を持っていい。そうしたよさを磨き直せば、グローバル市場で十分通用する。読み終わって、そう確信しました。
課題図書に追われて(笑)、最近は他の本まで手が回っていません。でも、前に在籍していた部署では、部下と「回し読み」をよくしていました。読んでおもしろかった本を、お互い貸し借りするんですよ。こういう読書の仕方もいいものです。おかげで、自分ではなかなか手に取らないような作品に触れられた。例えば、東野圭吾氏の小説とかね。職場でのコミュニケーション活性化にも役立ちました。「これ、読んでみませんか」といった会話が生まれるし、同じ本を読むことで共通の話題が生まれますから。
そういえば、その部署では「シネマクラブ」というのも開催していました。1カ月に1回、定時に仕事を切り上げて映画を見に行くという会です。忘れもしない、「ブリジット・ジョーンズの日記」を見に行ったときは参りましたよ。周りの観客は女性ばかりで、私以外に男性は見当たらなかった。あれは恥ずかしかったですね(笑)。「グルメクラブ」というのもやりました。こちらは、B級だけどなかなか予約がとれない人気店にみんなで行って楽しむ、という集まりです。
どちらの会も、言い出したのは私です。当社はノー残業デーを設けていますが、そうは言っても社員はなかなか定時に帰れないでしょ? だから、せめて月に1度くらいは仕事を早く切り上げてもらおうと思って始めたんです。ま、もともとそういうお楽しみ企画が好きだという点が大きいんですが(笑)。残念ながら、今の部署ではこうした企画をまだ実現できていません。そのうちやりたいと思っています。
「池袋ウエストゲートパーク」は、子供にすすめられて読みました。それ以来、石田氏の作品は新刊が出るたび買っています。悪いやつが最後にきっちりやっつけられるところがいいんです。池袋の街には馴染みがあるので、さらに楽しめます。文章を読みながら、その光景が頭に浮かぶんです。
いい本に出会うと、その作家を追いかけるほうです。山崎豊子氏もそんな1人。「運命の人」もいいですが、1冊挙げるとすれば、太平洋戦争の時期を生きた在米日系人が主人公の「二つの祖国」ですね。異なる価値観の狭間で引き裂かれる主人公の心のひだを巧みに描写していて、心を揺さぶられました。
知識創造企業
野中 郁次郎、竹内 弘高 著
梅本 勝博 訳
ISBN-13:978-4492520819
東洋経済新報社
2100円
- 幸重 孝典(ゆきしげ・たかのり)
- 全日本空輸 執行役員 IT推進室長
- 1978年に全日本空輸に入社。営業や販促、販売システムといった業務を歴任。2000年には国内線ドットコムに出向し、代表を務める。2003年からは、本社のマーケティングやWeb販売などに従事。その後、全日空システム企画への出向を経て2009年4月、執行役員IT推進室長に就任した。
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