世間の耳目を集める日産リーフ。ボディは小さめながら、その中には最新テクノロジーがぎっしり詰まっています。ここから見えてくる「クルマとITの融合」とは…。
2009年8月の正式発表以来、話題を集めてきた日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ(LEAF)」がいよいよ12月20日に発売されます。1回の充電で約200km走れる航続距離、補助金込みで250万円を切る実質価格、スマートシティを視野に入れた充電インフラ計画――ハイブリッド車市場ではトヨタとホンダに先を行かれてしまった日産が、文字どおり社運を賭けて投入するリーフの実際の完成度や乗り心地には、クルマ好きでなくても興味がそそられるところでしょう。
写真1:日産グローバル本社に展示されているリーフを撮ってきました。先進技術の固まりのような中身からすると、エクステリアデザインはちょっと平凡な気も……
巷間よく言われているように、EVの時代を迎えて、クルマとITの関係はこれまでにないほどまで急接近し、そして融合に向かっていきます。100%電力で走るEVは電気製品の1種だと考えれば、これは当然の流れですね。なかでもEVの最重要パーツの1つであるバッテリーは、ノートPCや携帯電話などのモバイル・デバイスに使われるリチウムイオン電池の飛躍的な性能向上があったからこそ、EVの開発で長年課題とされてきた、実用レベルの航続距離や駆動性能、耐久性能、充電時間を確保できるようになったわけです。
リーフに積まれるバッテリーに関しては、日産がNECとの合弁会社を設立してEV用のリチウムイオン電池を供給する体制を整えたことが話題になりました。今年の夏、日産のグローバルIT戦略を指揮する行徳セルソ氏に取材する機会があったのですが、そのときの「日産は覚悟を決めて、非常に大きなチャレンジを選択した。バッテリーの製造・供給では、グローバルでのトレーサビリティや品質管理など、自動車メーカーが持ち合わせていないノウハウが求められるからだ」という氏の言葉が強く印象に残っています。自動車業界とIT業界の融合がまさにこれから始まるのです。
また、1980年代から進化を続けていた、カーナビや運転情報サービスなどのいわゆるカーテレマティクス(Car Telematics:自動車向けの移動体通信技術/サービス)についても、EVではエンジン車以上にクルマとITの一体化が進んでいく模様です。リーフでは大きな特徴の1つとして、専用開発のITシステムが大々的にアピールされています。
●Next:リーフの専用ITシステムの充実ぶり
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