東芝ソリューションと東芝インフォメーションシステムズ(TSIS)は2011年1月12日、両社が国内の東芝グループ企業に提供している情報システムのクラウド化を完了したと発表した。両社は2008年より、東芝が掲げる「東芝グループIT戦略」実現に向け、国内外でシームレスかつ戦略的に活用することを目的として情報システムのクラウド化を進めてきたが、2010年10月に国内対応を完了したとのこと。
発表によれば東芝グループでは、国内外に542社(国内227社、海外315社)、約20万人の社員がワールドワイドにビジネスを展開している。両社は、東芝グループの情報システムの開発・保守・運用を長年にわたり担ってきた。両社が国内対応で実施した主な施策は以下のとおり。
- 仮想化技術によるサーバー統合
国内で管理しているサーバーをデータセンターの仮想化サーバーに集約。国内主要拠点のサーバーを対象に、100台が4台になる集約率を実証し、現在も統合範囲を拡大している。並行して運用の統合も推進し、集約された運用業務の定型化と自動化によりグループ全体での運用効率向上を達成した。 - バックオフィスを支える情報システムのシェアード化
人事/給与/勤怠/財務会計などを中心に、グループ内で業務システムを共通化。人事/給与システムでは、東芝ソリューションの人事給与ソリューション「Generalist」をクラウド型で提供、東芝グループの人員比率で約8割が同システムを利用している。そのほかにも、BIツール、調達システムなど、共通機能を中心にクラウド型のサービスを多数展開。メール/情報共有についてもクラウド化を推進し、これまで統合Notes環境を利用していた東芝グループ関係会社は2010年末を目標にOutlookメールとMOSS(Microsoft Office Sharepoint Server)への集約を推進中としている。 - エンジニアリングシステムのクラウド化
事業特性や専門性の強い業務領域でも、クラウド型に適したサービスを選別し推進している。サーバーリソースの時間貸しでシミュレーションを行えるハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)サービス、環境負荷物質管理など、各種サービスを提供。
両社は今後、2011年4月の中国拠点稼働を皮切りに、「グローバルITシェアード構想」をキーワードとした海外展開を進めていく。グローバル対応での主な施策は以下のとおり。
- グローバルネットワークの統合
海外ネットワークのハブ拠点となるNOC(ネットワークオペレーションセンター)を4拠点(北米、欧州、アジア、中国)に開設。今後構築されるITシェアードサービスセンターの足回りを整備していく。 - 海外リソースを活用したBPO(Business Process Outsourcing)の推進
中国にグローバルコードセンターを開設。東芝グループ内の統一コード利用会社へのコード管理、効率化、ガバナンス強化を推進し、多言語(英語、中国語、日本語)・24時間365日対応のサービスデスク機能を提供する。また、中国・アジアを皮切りにITシェアードサービスセンターを開設する。 - SCMシステムのグローバルサービス化
システム製品事業、業務用機器事業、コンシューマ製品事業、電子デバイス事業の4分野をグループ横断要件(IFRS、遵法など)で標準化し、クラウド型でのサービス提供を計画中。 - PLM(製品ライフサイクルマネジメント)のグローバルサービス化
基盤となるPLMを中核に、クラウド型でのサービス提供を計画。設計・開発業務のグローバル展開、新規事業へのIT基盤整備の迅速化により、事業展開の広がりとスピードを支え、IT運用の効率化を目指す。
今後、東芝ソリューションではグループ内でのクラウド構築実績をもとに、同レベルのサービスを顧客に提案できるようなビジネスモデルを検討していくとのこと。
東芝ソリューション
http://www.toshiba-sol.co.jp/
東芝インフォメーションシステムズ(TSIS)
http://www.toshiba-tsis.co.jp/tsis/