2010年の情報技術分野は、「クラウド騒ぎ」で終始した感がある。2011年も余韻は残るだろうが、クラウドを暗雲とするも青雲とするも利用者側の識別の問題である。それが周知されれば騒ぎも収斂していくだろう。ITの利用形態の1つに過ぎないクラウドで、目の覚めるような企業変革を期待する方も期待させる方も、姿勢を改めたほうがいい。進化する技術を冷静に見極めながら情報システムとして実装すべきものが、一歩間違えば何か胡散臭いものになって経営層からの信頼感さえ失いかねない。
IFRSの強制適用が秒読みに
むしろ直近のテーマとして沸々としているのが、国際会計基準(以下IFRS)への対応だ。2010年の3月期から任意適用を始めた企業もあるし、2012年には強制適用するかどうかが決まり、早ければ2015年の3月期から強制適用となる。対象は上場企業だが、連結子会社も影響を免れられない。
会計基準の国際化は経済のグローバル化が進む中で、避けて通れない。しかしIFRSでは、戦略なき日本が対応の遅れを晒し、後手に回っている感がある。韓国では今年強制適用がスタートする予定で、日本の4年先を走る。グローバルに活路を見出さなければならない危機意識の差が表れていると言っていい。
IFRSは原則主義、包括利益、公正価格評価(時価評価)など、日本の会計基準とは異なる特徴を持つ。コンバージェンスという擦り合わせ段階で、すでに多くの基準変更が行われてきている。2010年3月期からの適用で情報サービス企業が大騒ぎをした工事進行基準もその一環だった。これからが本格的な対応の始まりとなるだろう。
J-SOXと同じ罠に陥るな
それに向けて読んでおくべき資料の1つに、金融庁が2010年4月に発行した「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」という小冊子がある。内部統制報告制度(J-SOX)を適用する際に示した「内部統制報告制度に関する11の誤解」とよく似ており、誤解を招きやすい17項目の事例をあげて分かりやすく解説している。
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