シリコンバレーでの開発プロジェクトは、数人の優秀な技術者が短期集中型で進めるアジャイル型が主流。開発方法論にこだわらず、自由な発想を互いにぶつけ合いながら優れたソフトウェアを生み出している。
約百年前の1914年4月10日、豪華客船タイタニック号は乗客2223人を乗せ、英サザンプトン港からニューヨークに向けて初の航海に出航した。その4日後の深夜、北大西洋沖で霧に覆われた氷山に激突。翌日の午前2時20分に沈没した。限られた数の救命ボートに乗り切れなかった1517人が溺死した。
この史上最悪の海難事故をテーマにした映画が、1997年末に公開された「タイタニック」である。2億ドルの制作費と3年の歳月を投じた同作は、アカデミー作品賞や監督賞、撮影賞など計11部門を受賞。これまでの興行収入は、18億ドルに達する。投資利益率900%の、まさにビッグビジネスである。
いきなり映画の話から始めたのは、シリコンバレー企業の組織構造はハリウッドを手本にしているからだ。
かつて米国の通常の企業は、ピラミッド型の階層構造をよしとしていた。人から人へと情報伝達するには好都合だったからだ。しかし、シリコンバレー企業では1990年代の中頃から中間管理者を減らす動きが出てきた。グループウェアやイントラネットの普及によって情報伝達が迅速かつ正確になり、情報伝達役の中間管理者が不要になったためである。さらに、2000年以降のネットバブル崩壊により、人件費削減を目的にした中間管理職のレイオフに拍車がかかった。その後、中間管理職を一掃したシリコンバレー企業が進めたのが経営陣と実務担当者(特に技術者)の分離だ(図1)。その際の合い言葉が、「ハリウッドを見習え」だった。
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