どちらかといえば、ジャンルを問わない乱読派です。昔は書店にも足を運びましたが、今はその頻度が随分と減りました。購入は主にアマゾンで、平均すれば月に5冊ってところでしょうか。
どちらかといえば、ジャンルを問わない乱読派です。昔は書店にも足を運びましたが、今はその頻度が随分と減りました。購入は主にアマゾンで、平均すれば月に5冊ってところでしょうか。
本を読むのは、世の中の大きなトレンドを常につかんでおきたいという気持ちからです。新聞の書評欄、あるいは紙面の下段に打たれている広告なんかを見ると、世間で話題になっている本が分かりますよね。その中で気になるものがあると、すぐにネットで概要や評価を調べて、これは読んでおくべきかなという直感が働けばアマゾンでポチッとやるわけです。
あと最近ではツイッターも大きな情報源です。私がフォローしている人が時折、「この本がとても参考になった」などとつぶやいているのが目に入る。あの人が言うんだったら間違いないかなと思って買うパターンが増えました。まぁ、中には失敗もあります。そんな時はすぐに中古本としてアマゾンで売るんですよ。それに備えて、いつも帯やカバーを外して読むことが習慣付いてしまいました(笑)。
多くの企業にとってグローバル展開は喫緊の課題。会計基準をはじめ、経営管理体制も世界標準に合わせていかなければなりません。そんな仕事に関わっていることもあって、読書のテーマの1つとして「グローバリゼーション」があります。
その視点で振り返って見ると、強く印象に残っているのが「日本語が亡びるとき」という本。インターネットがこれほど普及した今、我々は英語が“普遍語”として台頭している時代を生きている。そんな時に日本語やその文化の行方、あるいは人としての世への処し方などを論理展開していて、とても考えさせられる内容でした。IT業界などで“知的生産”に携わる人にお勧めです。
ちょっとお堅い本かもしれませんが、「非対称情報の経済学」も参考になります。ノーベル経済学賞をとったジョセフ・スティグリッツ氏がこれまで研究を重ねてきた内容を、比較的分かりやすくまとめたもので、氏に関わる本を他にも色々と探したのですが、結局はこの1冊にたどり着きました。
一般的に学んできたであろう市場原理、つまりは世の中の需給バランスで価格が決まるという理論を否定しているのが骨子です。売り手はよく知っている一方で、買い手に十分な情報がないという状況においては“神の手”は働かないということ。ビジネス市場における情報の意味を考える上で、多くの刺激を受けられる良書だと思います。
「MBAが会社を滅ぼす」は、読んでいる最中に、思わず膝を叩いたのを覚えています。MBA流のマネジメント手法を偏重することの弊害を説いているのですが、私も日頃から似たような思いがあったからでしょうか。筆者は、マネジメントは、「クラフト(経験)」「アート(直感)」「サイエンス(分析)」がうまくバランスした上に成り立つとし、MBAのそれはサイエンスを重視し過ぎだと主張します。ごもっとも! ただし一方で、日本企業はクラフトばかりのマネジメントが横行しているという問題意識も抱えてはいるんですがね。
非対称情報の経済学
─スティグリッツと新しい経済学
薮下史郎著
ISBN: 978-4334031497
光文社
735円
MBAが会社を滅ぼす
マネジャーの正しい育て方
ヘンリー・ミンツバーグ著、池村千秋訳
ISBN: 978-4822245160
日経BP社
2940円
- 中澤 進 氏
- 日本CFO協会 主任研究員
- 外資系ITベンダーで管理会計や内部統制分野を中心としたコンサルティングを経験。2007年、中澤会計情報システム研究所を設立。早稲田大学WBS研究センター特別研究員も兼務
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