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私の本棚『クリティカルチェーン─なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?』ほか、リクルート米谷修氏が選ぶ3冊

2012年7月20日(金)IT Leaders編集部

自分で言うのも何なんですが、私は多分に“オタク”の素養を備えていると思うんですよ。何か1つのことに興味が湧くと、とことんディテールまで知りたくなる性格なんです。例えば、PCの自作とかバイクの改造とかでも、次々に知りたくなることが増えて、逐一腑に落ちるまで調べるもんだから、気が付くとディープな世界にどっぷり浸っているんです。

資本主義はなぜ自壊したのかクリティカルチェーン
─なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?

エリヤフ・ゴールドラット著、三本木 亮 訳
ISBN: 978-4478420454
ダイヤモンド社
1680円

インターネットがあるこの時代は便利ですよね。関連情報なんか、次々と深掘りしていけますから。時には、気になるアイドルが出てくると、下積み時代にさかのぼって調べたりね。ちなみに“ももクロ”(編集部注:アイドルグループのももいろクローバーZ)のDVDは全部持ってます(笑)。

いかんいかん、本の話でした。1冊めにご紹介するのは「クリティカルチェーン」です。著者のエリヤフ・ゴールドラット氏といえば「ゴール」が有名で読んだ方も多いことでしょう。氏の言うところの「TOC :Theory of Constraints=制約条件の理論」を、プロジェクトマネジメントに落とし込んだ内容になっています。

5、6年前のことですが、ちょうど大規模な開発プロジェクトを専門に管理する組織に在籍していた時に読んだのがきっかけで、今でも強く印象に残っている本です。コストは安く、品質は高く、納期は短く─これがプロジェクトの1つの理想型ですが、大概は、それも重要度が高いものほど真逆の方向に振れますよね? なぜ、そうなるのか、どうすれば上手く全体を管理できるのかを小説仕立てで紐解いており、大いに参考になります。本誌読者の方であれば、何らかのプロジェクトを率いていることが多いことでしょう。示唆に富む内容なので、手に取ってみてはいかがでしょうか。

先に触れたように1つのテーマを追求しちゃうタイプなんで、この分野の本は随分と読みました。例えばAmazonでクリティカルチェーンを検索すると、関連書籍がずらっとリストアップされるでしょ? これらを全部まとめて“大人買い”するんです(笑)。

「目標を突破する 実践プロジェクトマネジメント」は、ゴールドラット氏の側近として知られる岸良裕司氏がTOC理論を踏襲しつつ、日本企業ならではの事情も汲んで分かりやすく解説した良書です。この本には管理ツールの体験版がCD-ROMで付属していて、かつては実際に使ってました。そのユーザー会にも参加していたことがあります。最近では、改訂版と位置付けられる「最短で達成する 全体最適のプロジェクトマネジメント」が出ていますね。

この分野で、もう1冊挙げるとなればトム・デマルコの小説「デッドライン」。あるプロジェクトマネジャが、女性スパイによって独裁国家に拉致され、国家的なソフト開発プロジェクトを一任される─。荒唐無稽とも思える設定はさておき、これを成功に導くまでのストーリーは濃い内容です。101に及ぶメッセージ=法則は、どれも含蓄があり、日頃の仕事にも応用が利くものばかり。お勧めです。

目標を突破する
実践プロジェクトマネジメント

岸良 裕司 著
ISBN: 978-4806123316
中経出版
2415円

デッドライン
─ソフト開発を成功に導く101の法則

トム・デマルコ著、伊豆原 弓 訳
ISBN: 978-4822280536
日経BP社
2310円

米谷修氏
米谷 修 氏
リクルート MIT United プロジェクト推進部 エグゼクティブマネジャー
1988年入社。経理業務を経験した後、共通会計システムの開発を担当。2000年にFIT(Federation of IT:全社情報システム部門)に異動し、大規模アプリケーション開発やネットワークインフラの再構築などを歴任。現在はMIT United(Marketing & IT United)のプロジェクト推進部・システム基盤推進室で陣頭指揮を執る。
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