「大量のデータを分析/活用してビジネスに役立つ洞察を得る──これは非常に重要なトレンドだが、実はその前に企業は土台を固めなければならない。データをどのように保護、管理するかが、それだ」。米国の様々なカンファレンスやセミナーで講師を務める、米クアンタム(Quantum)のチーフテクノロジーエバンジェリスト、デイビッド・チャパ氏はこう強調する。
周知の通り、米クアンタム(Quantum)は重複除外ストレージやテープライブラリなど、データバックアップ(保護)製品を主力とする製品ベンダー。この発言はいささか我田引水にも思えるが、チャパ氏はこう続ける。「それを担うIT組織にとって、大量のデータの管理は寝てしまうくらい退屈なこと。巨大なタスクでもある。だからといって避けていてはデータ活用は難しくなるし、BCPの観点からも問題が生じる」。なぜそうなるのか。以下、チャパ氏に話を聞いた。
ビッグデータや仮想化時代にデータ保護はいかにあるべきか
―まずはデータ活用を巡る米国企業の動向を教えてほしい。
データの保護に急速に注目が集まっている。例えば2012年の米ESGのIT投資動向レポートでは、優先順位のトップはバックアップ/リカバリー、2位が仮想化の利用拡大だ。2011年は、仮想化が1位、バックアップ/リカバリーは5位だった。後押ししているのは、ビッグデータに象徴されるデータ量の急増だ。IDCの調査によれば、2009年から2014年の間に企業が管理するデータは、毎年61%の割合で成長する。必然的にそのデータは適切に管理、保護されなければならない。
―課題に取り組むにあたって、何を心得ておくべきか?
データのライフサイクル管理の基本に立ち返る必要がある。私は、4つのステップで取り組むべきだとアドバイスしている。まず、“データの価値は一様ではない(Data Equalit)”という事実を理解すること。私のPCに保存している家族の写真と、CRMに入っている顧客データベースでは企業にとって価値が全く違う。企業が扱うデータは多岐にわたるが、当然、それぞれの扱い方も全く違うものになる。
そこで、重要になるのが“データの分類(Data Classification)”だ。どう分類するかは企業によって異なる。ファイルの拡張子を使って分類したり、フォルダを手掛かりに分類したりすることもあるだろう。分類せずにすべてを管理するアプローチもある。だが分類の方法次第で、IT組織には大きな負担がかかる。手間をいとわず、きちんと考えることが重要だ。
次に“データの保持(Data Retention)”を考える。見落としがちなのが保存期間の設定だ。データはあっという間に膨れ上がる。データの保存期間を設定し、どのデータをいつ廃棄するのかを決める必要がある。利用状況に合わせて、階層型ストレージやクラウドサービスなどを利用してコストを最適化する必要もある。
したがって、4番目のステップである“データのアーカイブ(Data Archive)”も重要になる。データは価値をもたらす可能性もあるが、情報漏洩などのセキュリティリスクもある。アーカイブの手段も十分に検討する必要がある。
Backup-as-a-Service、DR-as-a-Serviceで企業の負担を減らす
―そのために米クアンタムはどんなソリューションを提供しているのか。
まずバックアップデータの増加には、重複除外ストレージ「DXi」シリーズという解決策を提供している。米EMCの「Data Domain」とは競争と協調の関係にあり、相互にライセンス供与しているものだ。非構造化データの質にもよるが、コスト対効果という面では十分効果が見込める。
2012年8月に開催されたヴイエムウェアの年次カンファレンス「VMworld 2012」では、「QCloud」と呼ぶクラウドサービスを発表した。これは、“Backup-as-a-Service”、あるいは、“DR-as-a-Service(ディザスタリカバリ アズ ア サービス)”とも言うべきものだ。
「DXi」シリーズやや仮想サーバーのバックアップソフト「vmPRO」が管理するバックアップデータを、ネットワーク経由で当社のデータセンターに非同期で自動的にレプリケートする。万が一、自社のデータセンターが被災した場合でも、QCloud上のデータを使ってシステムを復旧できる。
重複除外と圧縮を併用し、1TBから1PBまで保管できる。データの転送にはWANを使用。暗号化も施すためセキュリティ面の心配はない。料金は1GBあたり月額1セントから。企業は新たにサーバーやストレージを買い増すことなく災害対策を実践できる。バックアップ向けだけではなく、今後はアーカイブ向けのサービスも提供する予定だ。
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