中堅中小企業を主なユーザーとする統合業務(ERP)パッケージ市場で高いシェアを誇るミロク情報サービスの「MJSLINK」シリーズ。すでに累計で1万社を超える企業への導入を果たしているが、今回、200近い機能を強化した新製品「MJSLINK NX-I」が装いも新たに登場した。従来製品の「MJSLINK II」の良さはそのまま引き継ぎながら、中堅中小企業にも求められている業務効率の大幅な向上とスピーディな導入を実現している。本稿では、ミロク情報サービス 会計CP事業本部 営業推進部 企業システム企画グループ長 部長 志牟田浩司氏に伺ったMJSLINK NX-Iの強化ポイントについて紹介する。
中核コンセプトは「使いやすさと安心/安全の両立」
会計CP事業本部 営業推進部 企業システム企画グループ長
部長
志牟田 浩司 氏
MJSLINKシリーズの主なユーザー層は、年商100億円以下、従業員300名以下クラスの企業だ。SMB向けの業務パッケージ市場ではNo.1シェア(注)を獲得しており、専任のIT担当者を抱える体力がない企業から「経理担当者でも使える業務パッケージ」として高い支持を得ている。
MJSLINKシリーズの最大の特徴は、財務会計を中心とするいくつかの業務基本モジュールに、業務や運用に合わせて様々なオプションを追加できる点にある。特に財務会計については、多くの会計事務所に対してソリューションを提供してきた長年の実績に定評があり、そのノウハウが詰め込まれたパッケージへの信頼度は高い。「財務だけで十分だというお客様もいらっしゃいますし、給与計算や資産管理のモジュールも一緒に入れたいというニーズもあります。そうした個々のお客様の要望にあわせて、オプションの連携も含め、最適な組み合わせで提供できる点が我々の強みです。財務を核に各モジュールを連動させることはもちろん、他の汎用システムと連携させることも容易です」(志牟田氏)。
また、MJSLINKの重要なコンセプトとして「使いやすさと安心/安全の両立」が挙げられる。前述したとおり、中堅以下の企業では専任のIT担当者を据えることは難しい。零細企業に至っては経営者みずからが会計処理を行う場合も少なくない。したがってITに精通していない担当者でも使いやすい操作性であることは欠かせないポイントとなる。加えて、担当者ごとに処理権限を設定したり、システム利用履歴やファイル操作履歴を管理できる点なども、"誰もが使える業務パッケージ"だからこそ重要になる。「仕訳入力や金額の入力方法、Excelとの連携、入力後のスムースな画面遷移など、業務パッケージには実は細かいノウハウが求められます。MJSLINKではこれまでのノウハウをベースに、それこそ"かゆいところに手が届く"を目指して、かなり細かいレベルでお客様の要望を操作性に反映させています。セキュリティに関しても同様です」と志牟田氏。業務パッケージの操作性は、そのまま企業の生産効率に直結する。「他社が一朝一夕には真似できないレベル」(志牟田氏)で現場のニーズをインタフェースに反映させてきた実績がMJSLINKの大きな強みとなっている。
もう1つ、北海道から沖縄まで日本全国に30社を超える支社を抱えるミロク情報サービスならではの優位点が、ワンストップの直接サポートだ。地域密着型のサポート体制で、全国どこにあっても"安心/安全"な業務パッケージシステムを直接サポート込みで提供できる点も多くの中堅中小企業から支持されている理由だろう。
時代変化に合わせ、きめ細かい機能強化を徹底する
MJSLINKシリーズのコンセプトはそのままに、5年ぶりの新製品としてリリースされたMJSLINK NX-I。新製品投入の注目すべきポイントとして「システムの全面刷新」がまず挙げられる。「前製品(MJSLINK_II)から5年が経過したことで、MJSLINKシリーズが時代に合わせてさらに進化していくためにも、データベースの改良など、パフォーマンス向上と操作性やセキュリティを強化する必要性は明らかでした」と志牟田氏は語る。新データベースでは、システムを止めることなくバックアップを行うことも可能になっているほか、パフォーマンスと操作性の向上を実現したシステムが、MJSLINK NX-Iにおける最大の強化ポイントとなっている。
実は業務パッケージはすでに「機能的にはほぼ飽和状態。機能で差別化していくことは難しい」(志牟田氏)という。だが5年も経過すればユーザーが業務パッケージに求める要素も変わってくる。特にこの5年で経営のスピード化が大幅に進み、中堅中小企業においても生産性向上に対するニーズが増大している。
そこで新製品では業務効率を高めるための機能として「ワークボード」というグループウェアライクなナレッジツールを導入している。従来のカレンダーやスケジュール、ToDo、掲示板などをさらに発展させ、個人で管理する「パーソナル・ボード(個人ナレッジ)」と、チーム内で情報を共有する「パブリック・ボード(共有ナレッジ)」がある。単に情報を入力するだけでなく、コメントを付けることができる点が特徴で、プロジェクトの進捗情報の共有や、個人の備忘録としての活用も可能だ。「システムのポイントごとに付箋を貼っていくイメージですね。パブリックでオープンなメッセージングと、プライベートでクローズドな備忘録という2つの機能を同時に実現しています」と志牟田氏。全モジュール共有で利用できるため、業務全般に渡って生産性向上を図ることが可能になっている。
また、会計の透明化もここ数年で中堅中小企業、特に年商30億〜50億円規模の企業に求められるようになったニーズの1つだ。企業規模を問わず、資金繰りや近い将来のキャッシュフローをすみやかに公開するよう要請されるケースが増えていると志牟田氏は指摘する。「たとえば融資を受ける際、メインバンクから資金繰りを調査されるとき、可能な限りスピーディに提示された帳票に数字をアウトプットしていくことが求められます。そこで新製品では資金繰りや予算達成のシミュレーションする機能を大幅に強化しています。ここでのポイントはスピードです。いかに速く結果をアウトプットできるか。中堅中小企業にもスピード化の波は確実に押し寄せています」(志牟田氏)。
さらに新製品の機能強化として東日本大震災以降、BCP対策への取り組みを本格的に開始した企業も多い。中でも関心が高いのがクラウドストレージだが、今回の新製品ではクラウドストレージを活用した直接的なデータ保管は、機能として取り込んではいない。代わりに、バックアップやリストアの操作性を大幅に改善し、データのバックアップ先としては多重化された堅牢なデータセンターでの外部バックアップサービス、MJSセキュアストレージサービスを提供している。「クラウドへの移行は将来的には避けて通れないのは確実ですが、現時点ではまだ、クラウドにデータを置くことに抵抗を覚えるお客様は少なくありません。今回はクラウドへの道筋を示す程度の機能強化にとどめました」と志牟田氏。MJSLINKシリーズはすでに仮想化に対応しているため、ユーザーのプライベートクラウド環境で利用することはすでに可能で、加えてSalesforce.com上で動作する経費精算サービス「経費くん」を別に提供しており、これをオンプレミスの会計パッケージと連携させることも可能だ。だが、業務パッケージを月額ベースでSaaS提供したり、データをクラウドですべて保管するといったことは、次のバージョン以降で検討課題としている。クラウドへの「ゆるやかなシフト」を望んでいるユーザーに対しての配慮といえるだろう。
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従来の製品に対する全国のユーザーからの要望をすべて集約し、「オペレーションする側のノウハウをすべてシステムに反映した」(志牟田氏)というMJSLINK-NX1。現時点で日本の中堅中小企業が最も使いやすい業務パッケージに仕上がったと自信を見せる。今後はモバイルやクラウドなどへの対応がより求められることになるだろう。世間のトレンドとユーザーの真のニーズ、その両方をバランスよく取り入れながら、業務パッケージとしてさらなる進化を目指していく。
注:ミック経済研究所「基幹業務パッケージソフトの市場展望2010-2012年版」中規模企業向け(年商5〜50億円)ERPシステムの出荷金額ベース、矢野経済研究所「2009年〜2011年中小企業向け(年商50億円未満)財務・会計管理ソリューションライセンス売上高 エンドーユーザー渡し 価格ベース」
お問い合わせ先
会社名:株式会社ミロク情報サービス
部署名:会計CP事業本部 営業推進部 企業システム企画グループ
TEL:03-5326-0381
E-mail:kigyo-info@mjs.co.jp
ソリューション紹介URL :http://www.mjs.co.jp/company/software/mjslink_nx1/