和歌山県に本店を置く地銀・紀陽銀行。データの高度活用を目指し、情報系システムのデータベース統合に取り組む。10数年来、データ整備に苦慮してきた同行がたどり着いた結論は、データベースの仮想化という手段だった。プロジェクトを主導した紀陽情報システムの3人に話を聞いた。文中は敬称略。[聞き手:本誌編集長・田口 潤 Photo:陶山 勉]

- 阪本彰央氏
- 紀陽情報システム株式会社 代表取締役社長
1975年、紀陽銀行入行。2007年6月に同行取締役を退任し、紀陽ホールディングス取締役 紀陽情報システム取締役副社長に就任。2010年6月より現職

- 吉川 章氏
- 紀陽情報システム株式会社 常務取締役・営業本部長
2007年4月、日本ユニシスより紀陽情報システムへ出向し、執行役員・金融ソリューション室長に就任。2012年4月より現職- 冷水史和氏
- 紀陽情報システム株式会社 営業本部 企画室 室長
1982年、紀陽銀行に入行後、ITの企画・開発プロジェクトの責任者を歴任。2011年4月より、紀陽情報システムに出向。現在に至る紀陽情報システムは、紀陽銀行の親会社である紀陽ホールディングスが、日本ユニシスとの共同出資で設立した情報システム会社。写真は本社オフィス─情報系のデータベースを統合されたと伺いました。
阪本:これまで紀陽銀行は、サブシステム単位で情報系システムを構築してきました。業務ニーズに合わせて、顧客情報や、融資情報、営業情報、経営情報といったシステムを、その都度作ってきたんです。ただ、各システムにデータベースを持たせた結果、データが分散してしまった。それらを今回、データベース仮想化という技術を使って、擬似的に統合しました。といっても、まだ取り組みの途中ですが。
─データ整備はそれこそ20年前から言われていたテーマです。データが「命」の銀行が、なぜ今になって?
冷水:もちろん、以前からデータマネジメントの重要性は理解していました。各システムに分散したデータを一元的に集約して、常に最新の状態を保つようにしたい。各システムが、同じデータベースを参照するようにしたい。そう考えていましたが、コストやリスクなどを考えると、なかなか実施に踏み切れなかった。私たちにとっては、いわば10数年来の課題だったんです。ここに来て、ようやくそれが解決できるかもしれない。そんな状況ですね。
●Next:行内に分散した顧客データをどう統合したのか?
この記事の続きをお読みいただくには、
会員登録(無料)が必要です【次ページ】100以上のサブシステムに顧客データが分散
- 1
- 2
- 3
- 4
- 次へ >
- “建設DX”に邁進する熊谷組が明かした、基幹システム全面刷新の長い道のり(2022/05/30)
- 開発・生産から顧客体験までを一気通貫する! 1段ギアを上げたカシオ計算機のSCM/PLM改革(2022/02/24)
- 奈良の自動車整備工場がデジタルプラットフォーマーへと舵を切る─ファーストグループの挑戦(2022/01/14)
- バックキャスティング経営で拓く“10年後の当たり前”─SREホールディングス(2021/10/08)
- Real Data Platformを基軸に次世代事業を創出─SOMPOホールディングスのデータドリブン経営(2021/08/18)