[IT人材育成[戦略と実践]]

人材評価・人事処遇の現状と目指すべき方向―IT人材育成[戦略と実践](6)

2014年2月13日(木)高橋 秀典

今日の情報システムは企業を支え、ビジネスを戦略的に遂行するための武器でもあります。その構築・実現を担うIT人材の育成は、あらゆる企業にとっての最重要課題にほかなりません。本連載では、企業のITリーダー=IT戦略・情報システム責任者が、いかにしてIT人材育成・活用を推し進めていけばよいのかを掘り下げていきたいと思います。

 社員個々人のパフォーマンスを左右するキーファクターとして、企業内での人材評価・人事処遇制度はたいへんに重要な位置づけにあります。自社の経営計画や事業計画に沿った「戦略」としての役目を果たしているかが、これらを考えるうえでのポイントになると筆者は考えています。以下、日本企業の雇用スタイルに照らして考察してみます。

年功序列の崩壊と人材育成

 米国企業の場合、職務等級制度という日本とはまったく異なった考えがあります。「だれにどれだけの報酬を支払うか」というのではなく、「どのポジションにどれだけの報酬を支払うか」という考え方です。これは、人種問題という避けて通れない歴史的な課題から出てきた考えだと言われています。

 それに対し、ご存じのように日本企業は年齢と共に役職が上がっていき、同時に報酬も上がっていく年功序列の考え方をベースに発展してきました。年功序列には、例えば「部長以上は新幹線のグリーン車に乗れる」「取締役が乗る飛行機はビジネスクラス」などといった、社員に上昇志向を促すかのような人事処遇制度がベースになってきたわけです。

 また、何でもそつなくこなせるジェネラリスト型の人材を一括・大量に採用してきたのも大きな特徴で、これは勤続年数を軸にして待遇(権限や報酬)が上がるという論理の上に成り立っていました。住宅を購入するときも、ほとんどの方がこの考えをベースに長期ローンを組んできたわけです。

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