[市場動向]
来るデジタルワールドに最新のデータセンター戦略が必要な5つの理由
2015年6月22日(月)河原 潤(IT Leaders編集部)
ITのメガトレンドが、企業のIT活用を長年支え続けてきたデータセンターの姿を大きく変えようとしている。米ガートナーによれば、その変革は、「力の結節(Nexus of Forces:クラウド、ソーシャル、モバイル、情報/ビッグデータの強固な結び付き)」やIoT(Internet of Things)の台頭で出現した、新たなデジタルワールドの実態に即した必然だと言う。本稿では、同社が公開しているホワイトペーパー「最新のデータセンター戦略が必要な5つの理由」に示されたポイントを紹介しよう。
データセンター40年間の「進化」と「不変」
「力の結節とIoTの両方のインパクトにより、新たなデジタルワールドが出現したことで、データセンターの特性、構造、役割を変えなければビジネスの俊敏性と競争力が損なわれることになる」。こう語るのは、米ガートナーのマネージングバイスプレジデント、ラケッシュ・クマール(Rakesh Kumar)氏だ。
データセンターは40年以上にわたってITエコシステムの中心的な役割を果たしてきた。クマール氏によると、この間、消費電力・冷却に関する技術や、耐震施設・設備の設計施工などが著しく進化した一方で、データセンター自体の基本的な機能やコアとなる要件、すなわち高レベルの可用性と冗長性、明確に文書化された強固な変更管理のプロセス、従来のベンダー管理手法やセグメント化された組織構造はほぼ変わっていないという。
「こうしたアプローチはもはや今のデジタルワールドには適していない」とクマール氏は述べ、より適切でモダンなデータセンター戦略を開発する必要が生じていると指摘する。以下に紹介する「デジタルワールドに向けて最新のデータセンター戦略が必要な5つの理由(Five Reasons Why You Need a Different Data Center Strategy for the Digital World)」の概要から、IT部門がこれからなすべきことを考えてみたい。
1 データセンターを工場や研究所のように機能させる必要がある
2020年までにインターネットを利用するユーザーと企業は70億を超え、インターネットに接続するデバイスの数は350億に迫る勢いだ。これによって、データセンターが取り扱わなければならないデータのスピードと量は飛躍的に増大する。このため、データセンターは、常に増加する業務量に合わせて製造ラインをスケールアップしていくことができる“理論的な工場”として機能する必要がある。
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