IDC Japanは2015年10月21日、国内のデータセンターサービス市場の最新予測を発表した。2015年の国内データセンター(DC)サービス市場は前年比7.7%増の1兆429億円となる見込みとしている。
IDC Japanでは市場調査にあたって、データセンターサービスを「顧客企業の情報システムを情報サービス事業者のデータセンターで監視・運用するサービス」と定義している。冒頭のとおり、国内の2015年のデータセンターサービス市場を前年比7.7%増の1兆429億円と見込んでいる。
また、2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)については6.7%で順調に成長し、2019年の市場規模を1兆3386億円と予測。IDCによると、自社サーバールームから事業者DCへシステム移設する事例や、既存データセンターから耐震性能の高いデータセンターへのマイグレーション事例が増えていることが要因となっていると分析している。加えて、オンラインゲーム、映像配信、SNS(Social Networking Service)、ネット通販などのいわゆるネットビジネスの市場成長もあってサーバー能力が増強されていることも、データセンターサービス市場の拡大に寄与しているという。
IDCは、国内DCサービス市場で今後最も拡大速度が速いのは、クラウドサービスによるサーバー能力の提供サービスであると見ている。「これまでWebアプリケーションなどのサーバーやシステム開発環境として使われることが多かったクラウドサービスだが、企業の業務システムのサーバーとして利用される事例が次第に増えている。これによって、新たな顧客需要が掘り起こされると同時に、従来のDCサービス利用事例が、安価なクラウドサービスに置き換わりつつある」(同社)。
一方、事業者種類別シェアで見た2015年の国内データセンターサービス市場は、SIer/ITベンダーが63.6%、通信事業者が22.3%、データセンター専業事業者が14.2%となっている。このうち売上拡大が最も顕著なのは、クラウドサービスの急成長が特に著しいデータセンター専業事業者で、2014年~2019年のCAGRは11.4%になるとIDCでは予測している。
安価なサービスへのシフトにより価格競争が激化する一方、設備仕様/サービス品質に関する顧客企業の要求は厳しくなっており、さらにデータセンター老朽化に伴う設備改修コストの増大や電気料金の上昇が、データセンター事業者の収益性を圧迫しているとIDCは指摘する。IDC JapanのITサービス リサーチマネージャー、伊藤未明氏は「ネットビジネスなどの成長分野への営業強化とともに、データセンター設備の調達/運用を見直すことが重要となる」と分析している。
今回の発表はIDCが発行したレポート「国内SI事業者/ITベンダーのデータセンターサービス市場 2014年の実績と2015年~2019年の予測」(J15310103)/「国内通信事業者/DC専業事業者のデータセンターサービス市場 2014年の実績と2015年~2019年の予測」(J15020106)で詳細が報告されている。