[木内里美の是正勧告]

光コラボレーションモデルの現実から情報収集の大切さを考える

2016年8月17日(水)木内 里美(オラン 代表取締役社長)

自由化によって提供される様々なサービスを活用する場合、その内容はよく吟味したほうがいい。その際に役立つがネットの情報。情報収集の努力と勉強は今日の消費者には必須であり、大事である。そんな事を再認識させる、ある出来事があった──。

 読者は2015年2月に提供が始まった「光コラボレーションモデル」をご存じだろうか? 筆者は光回線の自由化くらいの認識で、特に関心はなかった。ある日、聞いたこともない名前の会社から意味不明の電話が携帯にかかってきて、光コラボレーションに直面することになった。電話してきたのは、どうやら光回線の代理店事業者の営業担当者である。

 「回線はそのままで、契約を変えさえすれば月額料金が安くなる」と一方的に捲し立てられた。条件を聞くと、光回線と同時に契約しているISP(インターネット接続業者)を解約し、新規に指定のISPと契約することだという。さらに請求集金処理などを一括変更するためにNTT東日本(あるいはNTT西日本)と移管の確認をしてほしいと翌日電話があり、電話転送を受けた。

 事情不明なところが多々あったので、電話に出たNTTの担当者に光コラボレーションへの変更(転用と呼ぶらしい)の実務的なことを訊いた。NTTのフレッツ光から光コラボへの変更は簡単だが、その逆は解約するしかないという。光コラボには様々な事業者があってサービスも様々だし、サービス品質が低下しないかどうかも分からない。現状維持でも全く支障がないことから、契約変更を見合わせる旨、その事業者の営業に伝えるとブチッと電話が切れた。電話の切り方でおおよその状況がわかった。

ますます進む自由化と競争

 光コラボレーションモデルとは、NTT東日本とNTT西日本が占有していた光回線を外部の販売代理店が独自の付加価値を付けて再販できるようにした規制緩和である。ちょうど移動体通信の自由化に伴い携帯のキャリア回線を借り受けて格安SIMなど付加価値サービスを提供するMVNO(Mobile Virtual Network Operator)事業者と似ている。どちらの事業者もすでに200社を超えていると思われ、多様なサービスと熾烈な顧客獲得と価格競争が展開されている。

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