複数のシステムに散在するデータ群を一つの大きなデータベースとして抽象化するデータ仮想化が注目を浴びている。一方、人工知能のテクノロジーが進歩を重ね、大量のデータからインサイトを導くのに効果を上げるようになってきた。企業活動の勝負がデータやコンテンツの活用差で決まる時代を迎え、あらためて問われるのがデータマネジメントのあり方である。
仮想化といえばサーバーの仮想化を思い起こす人が多いのではないだろうか? メインフレーム全盛期を除けば、情報システム関連で「仮想化」が大きく取り上げられるようになったのは2005年頃からのサーバー仮想化だった。オープンシステム化が進み様々な用途のサーバーが増え続け、管理の手間や費用を圧縮したいという要求に応えたのが仮想化技術だった。今日ではサーバー仮想化によってハードウェアの集約や運用費の削減を行っていない企業はごくわずかだろう。
仮想化とは抽象化とも表現され、物理的な構成を論理的な構成に変えて統合や分割を組み合わせることができる技術である。身近なところでいえば、 Macの中に仮想環境を作ってWindowsが使えることはよく知られている。また端末側には入出力機能しかなく、プログラム処理は全てサーバー側で行うデスクトップ仮想化(VDI)と呼ばれるシンクライアント環境も、耳にしたり実際に使っている人もいることだろう。
仮想化技術はその後、ネットワークやストレージなどにも応用され、今ではデータ仮想化が注目を浴びるようになってきた。この背景にはビックデータやクラウドがある。企業はシステムによって得られる企業活動の様々なデータを活用すべく、データ統合やデータ連携など工夫を重ねてきた。データ仮想化は物理的に異なるデータベースに格納されているデータ群をあたかも一つの大きなデータベースに格納されているかのように扱えるようにする技術である。
劇的変化はコンピュータ技術によって起こる
実際には物理的に異なる場所にあるし、仮想化の常として多少のオーバーヘッド(時間遅れ)はある。しかし実際に1カ所に集めて巨大なデータベースを作るより確実に安上がりだし、コピーするわけではないので鮮度が高く、ほぼリアルタイムに活用できる。例えば、様々な種類のビックデータをクラウド上に構築したデータ仮想化レイヤーに統合し、多用途に活用できる環境が整ってきたのだ。
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