[市場動向]

オープンデータ最前線─“多様性”がもたらすイノベーションの可能性を探るLinkData.orgの挑戦

2017年1月13日(金)柏崎 吉一(エクリュ 代表社員)

本稿は、オープンイノベーションの可能性を追求するLinkData.orgの取り組みに焦点を当てた。その特徴、立ち上げの背景、目指すものは何か。共通語彙基盤に準拠したオープンデータをLinkData.orgに公開する北海道森町の事例や、バイオ分野の動向に触れながら、データを二次利用しやすい形で公開することで期待される“リターン”を紐解いていく。

LinkDataにオープンデータを公開する北海道森町

 北海道の道南に位置する人口約1万6400人の森町。同町では、役所が収集・管理する統計情報の一部を、インタ―ネット上に公開している。提供元を記載すれば、営利・非営利を問わず、町民を含めて誰でも自由に2次利用できるオープンデータだ。

 森町総務課情報管理係長の山形巧哉氏は、「近年では森町でも、町民の多く方が日頃からスマートフォンなどでインターネットを利用している。行政としても従来型の紙ベースではなく、身近なネット上に情報を公開した方が利便性が高いと考えた」と話す。

 とはいえ、公開にあたって、森町はサーバーを自ら立ち上げて運用しているわけではない。公開に用いているのは、オープンデータのホスティングサービスを無料で提供するLinkData.org(以下、LinkData)というサイトである。

図1 LinkData.orgのトップページ(http://linkdata.org/

図2 森町の人口世帯数や避難場所一覧、AED設置場所一覧など13のデータセットが公開されているLinkDataのWebページ(http://user.linkdata.org/user/hokkaido_morimachi/work
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  LinkDataの運営主体である一般社団法人リンクデータによると、2016年6月1日時点で、LinkDataを使ってオープンデータを公開している自治体の数は、森町を含めて45である。

 森町はなぜ、このLinkDataをオープンデータを公開する仕組みとして選択したのだろうか。山形氏は、次のように説明する。「森町の職員は、私も含めてデータを扱うプロではない。適切な表現形式でデータを公開する知識、またはAPI公開を行うITインフラを自前で構築・運用するほどの資金や人手に乏しい。そこで運用実績のある外部のサービスを活用することにした」。公開された森町のオープンデータは、山形氏をはじめとして職員も日々の文書作成などの職務で活用している。

 公開されたデータを利用するアプリも少しずつ出始めている。一つが、森町にある小学校の給食の献立がわかる「オガルコ」だ。森町が公開する学校給食のデータを利用している。このアプリでは検診カレンダー、保育園マップなどの情報も一覧で表示される。

図3 二次利用が可能な森町の学校給食データを用いたアプリ「オガルコ」の画面(http://mori.ogaruco.net/)。森町の学校給食データはLinkDataに公開されている(http://linkdata.org/work/rdf1s4545i/ogaru_2016_10.html?key=#work_information

 他にも、森町が公開する避難場所一覧を加えた「オープンデータで作る全国避難場所マップマッピング」というアプリがある。こちらはアプリそのものがLinkDataに公開されている。すなわち、LinkDataには、オープンデータだけでなく、アプリを無償で公開する機能も用意されている。

●Next:分野を超えた情報交換を行う「共通語彙基盤」

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