中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。
“中国のAWS”Alibaba Cloudを提供するAliyun(阿里雲)が好調――2017年内には黒字化
―金融界(2017年1月29日)
アリババグループは2016年第4四半期(10-12月)に係る財務諸表を発表した。それによると、同グループ傘下で中国クラウドサービス最大手のAliyun(阿里雲)に係る売上高は17.64億元(約280億円)で、前年同期比で115%の成長となった。これをEBITAに換算すると9200万元(約15億2000万円)になり、EBITマージンではマイナス5%となる。赤字は大幅に改善され、有料ユーザー数は76万5000となり、前期(7~9月)比で11万4000ユーザーの増加となった。
AliyunのEBITA換算による利益率はここ7四半期において迅速に上昇しており、今後2~3四半期後にはユーザー数が100万を突破すると見られている。これは同社の見積もる損益分岐点を超えており、2017年内には同サービスは黒字化される見通しだ。
Aliyunの急速な成長の背景として、有料ユーザーの増加速度が、ARPU(Average Revenue Per User)の増加速度を超えていることが挙げられる。現在のところ、Aliyunユーザーが支払う費用の年間平均額は1万元(約16万円)を下回っており、統計上は主な顧客層は中小企業だ。このため、Aliyunの喫緊の課題は規模の拡大とされている。これは同社の投資者向け資料にも記載されている。
国家級のフラッシュメモリー工場を武漢市に建設へ、2020年完成予定
―新華社(2017年1月3日)
総投資額240億米ドル(約2兆7000億円)となるフラッシュメモリー工場の起工式が、湖北省武漢市の東湖ハイテク産業開発区にて執り行われた。本工場は2020年に完成予定で、年間生産高は100億米ドル(約1兆1300億円)となり、中国の国家クラスのメモリー生産拠点となる。
本工場の所在地は東湖ハイテク産業開発区の武漢未来科学城で、3つの工場に世界最大の3次元NANDフラッシュの量産ファブを設置する。1棟の本部ビルと付属施設から構成され、その中心設備における1平米あたりの投資額は3万米ドル(約340万円)に上るという。同工場では2018年より生産を開始し、2020年の完成後における生産能力は1月あたり30万枚を想定しているという。
本工場は清華大学傘下のIT企業「Tsinghua Unigroup(紫光集団)」と政府系ファンド「国家集成電路産業投資基金」等の共同投資で設立され、フラッシュメモリーの生産工程の確立を突破口として、製品デザイン、研究開発、ウェハーの生産・テストの他に、販売までも行うという。現在、中国の輸入する半導体の中で金額が最も高いものはフラッシュメモリーとのことだ。
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