[イベントレポート]
次世代のネットワークはより直感的な存在に、Ciscoが「The Network. Intuitive.」を発表
2017年6月28日(水)五味 明子(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)
Cisco Systemsは2017年6月26日(米国時間)、米ラスベガスで開催中の同社のプライベートカンファレンス「Cisco Live US 2017」において、同社が描く次世代ネットワーク構想「The Network. Intuitive.」についてその詳細を明らかにした。Cisco Liveのオープニングキーノートに登壇した同社CEOのチャック・ロビンス(Chuck Robbins)氏は「Network. Intuitive.はネットワーク新時代のスタートを飾る存在。(マシンラーニングにより)インテントとコンテキストを理解し、それらをパワーにしながらより直感的な存在へと進化していく」と語り、まったく新しいネットワーク時代が到来しつつあることをあらためて強調している。
Ciscoはカンファレンス開催前の6月20日に「インテントベースのネットワークソリューション」として「Cisco Digital Networks Architecture(DNA)」を発表しており、これにはネットワーク管理のダッシュボード「Cisco DNA Center」、プログラマブルASICを搭載した次世代スイッチ「Cisco Catalyst 9000シリーズ」、暗号化トラフィック解析ツール「Encrypted Traffic Analytics」が含まれる。
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「The Network. Intuitive.」はCisco DNA製品をベースに構築される次世代ネットワークで、
- マシンラーニングによる自己学習
- インテントの理解
- セキュリティの向上
- コンテキストの把握と分析
というサイクルを繰り返し、継続的かつ自律的に学習することでネットワークの安全性を高め、プロビジョニングの負荷を軽減し、オペレーションコストを下げることを目的としている。中心となるのは「まったく新しく書き換えられたIOS」(ロビンス氏)を搭載したCatalyst 9000シリーズで、メタデータの解析からマルウェアを検知するEncrypted Traffice Analyticsと組み合わせることで99.99%の精度でマルウェアの自動検出が可能になるという。またCatalyst 9000シリーズは既存の売り切り型のモデルではなく、サブスクリプション型での提供が予定されている。
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インテント(intent)は「人間の意思」、コンテキスト(context)は「データの文脈」をそれぞれ意味するが、ネットワークを流れるデータを高い精度で迅速かつセキュアに分析し、自動で学習を重ねていくことで、次のアクションを引き出す“直感的な”インサイトが得られるというのがCiscoの主張だ。すでにNASA、Wiproなど75の企業/組織がアーリーアダプタとして「The Network. Intuitive.」に基づいたネットワーク環境を構築している。Ciscoのスイッチを運用するためには専門のスキルを備えたネットワークエンジニアが必要とされてきたが、自律的に学習を重ねる「The Network. Intuitive.」ではIPアドレスマネジメントやACLマネジメントなどを含め、特殊なスキルセットを要求されるケースは激減するという。
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