グーグルは2018年1月26日、マシンラーニング(機械学習)を使った予測モデルを誰でも簡単に作成できることを目指したクラウドサービス「Cloud AutoML」を国内で発表した。画像認識の分類モデルを作成できる「Cloud AutoML Vision」のα版を、利用申請を経た企業に2018年1月17日に提供開始した。次期のβ版からはGoogle Cloud Platform(GCP)のサービスとして広く提供する。
Cloud AutoMLは、グーグルが「AIの民主化」をうたって提供する、誰でも簡単に機械学習による予測モデルを作成できるようにするクラウドサービスである。最初に提供する画像認識では、何が写っているのかを示したラベルを付与した画像データ群をアップロードしてボタンを押すだけで、画像に何が写っているのかを判定して分類するモデルを自動で作成できる。
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画像認識の判定モデルを作成する需要として同社は、コンテンツ管理、医療、小売調査、保険、などを想定している。コンテンツ管理の例として、自動車の写真から車種を調べるといった使い方ができる。医療では、診断済みの画像を学習させたモデルによって新たな診断を支援できる。保険では、対物事故の写真を送るだけで費用が分かるといった使い方がある。
従来、グーグルが提供してきた機械学習のサービスは、翻訳API(Translation API)や画像認識API(Vision API)のように学習済みのモデルをAPI経由でユーザーに使わせる汎用的でお仕着せのAPIサービス群か、あるいは機械学習の専門知識がなければカスタムモデルを作成できない機械学習エンジンサービスしかなかった。
「それぞれのビジネスが抱える課題に対して、もっと簡単にカスタムモデルを作れるようにしたい。このためにCloud AutoMLを提供する。早ければ1日以内で高精度なモデルを作れる」(グーグル)としている。
画像認識用途のCloud AutoML Visionは、現在α版であり、誰でも使える状態にはなっておらず、利用にあたっては申請フォームから申請する必要がある。現時点でかかる費用のほとんどは、データを格納するGoogle Cloud Storageの費用になる。AutoMLからGoogle Cloud Storage上のデータを参照する仕組み。