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[イベントレポート]

自社保有DCからマルチクラウドのデジタルインフラへ―デジタルエコノミー時代のデータセンター

クラウド&データセンターコンファレンス2018 Summer オープニング基調講演レポート

2018年7月26日(木)柏木 恵子

グローバルでIX(Internet Exchange Point:相互接続点)とデータセンターを展開する米エクイニクス(Equinix)。世界のインターネットとデータセンターをつなぐ立場にある同社は、この市場・産業の現況と将来をどのように見ているのか。2018年7月3日、東京都内で開催されたクラウド&データセンターコンファレンス2018 Summer(主催:インプレス)のオープニング基調講演に、エクイニクス・ジャパン 代表取締役兼北アジア事業統括の古田敬氏が登壇。「デジタルエコノミー時代のデータセンター」と題した講演で、データセンターの今後を語った。

DXの進展とITインフラのシームレスな変化

 続いて古田氏は、ここ数年バズワード的に叫ばれているデジタルトランスフォーメーション(DX)について言及した。デジタル化の流れの中で、変化がシームレスに起こっており、とりわけ地球規模のネットワークで、リアルタイムコミュニケーションが可能になったことは大きいと語った。

 「DXとは、すべての業界がデジタル技術やデータを活用しながら効率を追求し、よりよい社会や生活のための価値創造を行うこと。その本質はコスト削減ではないし、また、デジタルでリプレースが可能なものは、いずれそうなる」と古田氏。日本人は、変化を楽しむ気質ではないと言われることが多いが、「それでも、10年前に比べれば日本人もかなりグローバライズされてきたと感じる。例えば、AWSのような海外のハイパースケールに拒否感を示す人は、今ではあまりいない」と古田氏は述べた。

 古田氏は、デジタルビジネスを支えるITインフラの要件として、スケーラビリティと俊敏性/エッジ対応(後述)/ネットワーク最適化/脅威の最小化(リスクマネジメント)/信頼できるパフォーマンス/レガシーITのクラウド化を挙げた。

 「マルチクラウドのニーズが増しているように、デジタル時代は、1つのソリューションがすべてということにはならない。これは組織のDXを推進するポイントになってくる」と古田氏は説いた。

エッジコンピューティングで集中から再び分散へ

 コンピューティングモデルは分散と集中が循環している。クラウドは各企業に分散していたオンプレミスのシステムやデータを集中させ、それによって効率が上がるというモデルだが、古田氏は「数年前からは、エッジコンピューティング、あるいはレイヤードアーキテクチャ(Layered Architecture)のモデルが広がり始めている」と指摘した。

 レイヤードアーキテクチャは、ストレージの階層管理を大規模にしたような考え方で、古田氏は次のように説明した。「コンピュートのリソースを複数層に分け、それほど高性能でなくてもよく、レイテンシーも気にならない場合、例えば山奥に置く。そうでないものは処理対象のなるべく近いところに、それでも間に合わないものは処理対象のそば、エッジに置く」

 エッジモデルで最もリアリティがある例として古田氏は、5G(第5世代移動通信システム)の基地局で処理をして返すケースを挙げた。「ただし、エッジモデルやディストリビュート(分散)モデルに、すべてのデータセンターが対応する必要というわけではない」と同氏。

 図3は、冒頭で触れたデジタルインフラの特徴をまとめたものだ。データセンターのアーキテクチャは、エッジ/レイヤードコンピューティングにより中央集約型から分散型へ移行すると同時に、マルチクラウドとハイブリッドITインフラが最も理にかなった構成として多くの企業に選ばれていく。

図3:デジタル時代のインフラストラクチャ(出典:エクイニクス・ジャパン)
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 エクイニクスは、マルチクラウド環境をサポートする「Equinix Cloud Exchange」サービスを提供しており、2018年4月には、都市間接続サービス「Equinix Cloud Exchange Fabric」の国内展開もスタートしている。ユーザー企業は、異なるリージョンでしか提供されていないクラウドサービスを含めたハイブリッド環境の構築が可能になり、自社システムのBCP/DR機能を高めることができるという。

 デジタルインフラやDXは、今後、あらゆる業界において本格的に進んでいくというのがエクイニクスの見方だ。業種によってスピード感は違うが、国内でもユーザー事例が増えている。古田氏の言う、シームレスな変化をとらえながら、デジタルビジネスを有効に展開可能なITインフラの整備・拡充が必須で求められていくだろう。

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