一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2019年1月25日、ユーザー企業によるIT投資動向などを定点観測する年次レポート「企業IT動向調査2019」における2019年1月時点の速報値を発表した。これによると、2019年度のIT投資額はこれまでになく大きく伸びるという。最終集計・分析結果は2019年4月上旬に発表する予定としている。
日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調査によると、2019年度におけるユーザー各社のIT投資の伸びは、これまでになく大きいものになるという(図1)。2018年度と比べた2019年度のIT予算の増減予測を調査したところ、全体の47.6%が「増加」、42.1%が「不変」(前年度並み)と回答した。IT予算を「増やす」割合から「減らす」割合を差し引いて求めたDI(ディフュージョンインデックス)は37.4ポイントに達した。これは、過去10年で最高水準だった2018年度(27.0ポイント)を10ポイント以上も上回る。
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JUASは、背景にデジタル技術を用いたビジネス変革が、業種を問わず企業にとって重要な経営課題となっている状況を指摘する。「深刻化する人手不足の解消策としても、ITが担う役割は大きくなるばかりである。国内企業の業績はおおむね好調で、豊富な手元資金がITに振り向けられているという推測が成り立つ」(JUAS)。
金融グループの4割は、IT投資額が「10%以上増加」
売上高別にIT予算の増減を集計した結果、DIが最も高いのは、1000億円以上1兆円未満の企業で、41.5 ポイントだった。「10%以上増加」が4分の1を超えるなど、旺盛な投資意欲が見てとれる。一方、DIが最も低いのは売上高1兆円以上の企業で、31.3ポイントだった。大企業はすでにIT投資を増やしており、他の売上高規模の企業と比べると伸びが鈍化していると考えられる。
IT投資への意欲は業種によらず高いが、とりわけDIが高いのは金融グループである(図2)。51.4ポイントであり、他グループより10ポイント以上高い。「10%以上増加」と答えた企業が4割に達する。JUASは、金融サービスの強化に向けたFinTechへの取り組みや、業務効率化のためのRPA(ロボットによる業務自動化)の活用が牽引していると推測している。
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金融以外の業種グループも30ポイントを超える。なかでも、商社・流通(39.3ポイント)や社会インフラ(38.2ポイント)などが目立つ。
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