SAS Institute Japanは2019年2月5日、説明会を開き、2018年の業績を発表した。3年連続で増収増益となった。増収増益を牽引した大きな要素は、2016年11月から提供しているデータ分析基盤ソフトの「SAS Viya」。2018年のSAS Viyaの売上は、販売開始から間もなくわずかだった2017年との比較とはいえ8倍になったという。2019年は、SAS Viyaを中心としたコア事業に注力するほか、顧客関係の強化やデータ分析技術者の育成支援に注力する。
米SAS Instituteの日本法人であるSAS Institute Japanは、データ統計解析/BI(ビジネスインテリジェンス)ソフトウェアの老舗である。これまで提供してきた主力製品の「SAS 9」と並行して、2016年11月からは、データ分析機能を簡単に組み込めるデータ分析基盤ソフト「SAS Viya(ヴァイア)」を提供している。
SAS Viyaは、データ分析機能をAPI経由で利用できるようにした基盤ソフトである(図1)。Web API経由でデータ分析機能を利用したり、JavaやPythonなどのプログラミング言語からそれぞれのAPIライブラリを介してデータ分析機能を利用できる。SAS Viyaをベースとしたソフトとして、マシンラーニング(機械学習)/AI機能によるデータ分析機能を提供するソフトも提供している。
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2018年のSAS Viyaの売上は、販売開始から間もなくわずかだった2017年との比較とはいえ700%成長、8倍に増えた、と同社は説明する(写真1)。SAS Viyaは、2019年も同社の事業を牽引する要素の1つとなる。
同社が挙げるSAS Viyaの適用領域は、大きく2つある。1つは、新たな事業分野にAIを適用することによってイノベーションを促進すること。もう1つは、複数の開発言語や技術に対してオープンな分析基盤を提供することによって、データ分析を民主化することである。
特に、データ分析の民主化を強くアピールする。「SAS言語だけでなく、R言語やPython言語、Java言語などからSASのデータ分析機能を利用できる。使い慣れた言語が使える。それぞれの言語で作成したAIモデル同士の精度を比較することもできる」(同社)。
SAS Viyaの事例は増えている。金融では三菱UFJ銀行、製薬では塩野義製薬などが全社のデータ分析基盤として導入している。このほか、運輸業は顧客サービスの高度化、小売・流通業は需要の予測、製造業は研究開発領域にデータ分析を適用している。