ジュニパーネットワークスは2019年7月19日、買収した米Mist Systemsの無線LANアクセスポイント製品に関して情報をアップデートし、無線LANアクセスポイントの新モデル「AP43」を発表した。次世代の無線LAN通信規格であるIEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)に準拠したモデルであり、同社では最上位モデルに相当する。価格はオープンで、2019年第4四半期にパイロット版を出荷する。
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米Mist Systemsの無線LANアクセスポイントの特徴は、クラウド型の無線LANコントローラ「The Mist Cloud」がマシンラーニング(機械学習)によるデータ分析機能を備えることである(関連記事:無線LAN企業が日本法人「ミストシステムズ」設立、機械学習で端末位置や稼働状況を把握)。アクセスポイント、無線LAN端末、ネットワーク機器などから情報を収集して分析する。
マシンラーニングによるデータ分析によって、無線LANのサービスレベルを判定できる。無線LANに接続するまでに要した時間や、データの転送速度などをサービスレベルとして設定し、これを監視できる。性能が平常時のベースラインを逸脱した際に、アクセスポイントがパケットをキャプチャして、分析に必要なメタデータをクラウドに転送できる。
建物内の端末の位置を高精度に特定する“仮想ビーコン”機能も備える。BLE(Bluetooth Low Energy)を使って建物内での位置を特定する。アクセスポイントとBlueTooth端末側の専用アプリケーションによって端末の位置を把握する。応用例として、ホテルや病院などにおいて、A地点からB地点に行くための方法を端末に表示する、といった使い方ができる。
「ネットワークにはAIが不可欠」と、米Mist Systemsの共同創設者で社長兼CEOを務めるSujai Hajela(スジャイ・ハジェラ)氏(写真1)は指摘する。ネットワークへの需要が高まる一方で、供給は足りていない。だからAIで高度化するという理屈である。「『つながる』と『良い』は同義ではない。ユーザー体験をAIで改善することが大切だ」としている。
今回、無線LANアクセスポイントの新製品「AP43」を発表した。ジュニパーネットワークス(米Mist Systems)の無線LANアクセスポイントの中では最上位モデルに相当し、新たな無線通信規格としてIEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)に準拠する(図1)。2019年第4四半期にパイロット版を出荷する。
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今回さらに、クラウド型の無線LANコントローラであるThe Mist Cloudとは別に、データプレーンに関する制御機能や分析機能をオンプレミス側で実現する製品「Mist Edge」も発表した。
Mist Edgeではまず、レイヤー2ネットワークをトンネリングによって延伸するL2TPv3をMist Edgeで終端できるようにする。これにより、社内のVLANをインターネットを介して遠隔拠点に拡張するといったことができるようになる。これに対して、Mist Edgeを使わない場合、ローカルスイッチングしか利用できなかった。