ノークリサーチは、年商500億円未満の中堅・中小企業を対象に、ERP(統合基幹業務システム)に対する認識の変化や今後のニーズの動向を調査した。中堅・中小向け製品のシェアが伸びている理由として、機能の統合が進んでいることを挙げている。同年10月23日、調査結果のダイジェストを発表した。
図1は、ノークリサーチが今回調査した、年商500億円未満の国内中堅・中小企業によるERP製品のシェアである。導入社数を2018年と2019年で比べると、「SAP ERP」(独SAP)などの大企業向け製品のシェアが減っている一方で、「SMILEシリーズ」(大塚商会)などの中堅・中小向け製品のシェアが増えている。
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中堅・中小企業のうち、主に年商100億円未満の企業では、ニーズとして機能統合によるERPソフトウェアの多機能化があり、このことが導入社数シェアの伸びにつながっているとノークリサーチは見ている。実際、シェアの伸びが大きい製品では、機能を統合する傾向が見られる。
例えば、SMILEシリーズは、販売・仕入・在庫管理などの基幹系システムにおいて導入社数シェア上位に位置しているほか、最新バージョン「SMILE V」ではRPA(ロボットによる業務自動化)機能や情報系アプリケーションとの統合を進めている。
また、「Microsoft Dynamics AX/365」は、以前からCRM(顧客関係管理)の「Microsoft Dynamics CRM」が導入社数シェア上位に位置しており、刷新後の「Microsoft Dynamics 365」においてはERPとCRMを統合している。
パッケージからSaaSへの移行が進む
クラウドサービスの利用状況など、ERPの運用形態の変化も調べた(図2)。2018年と2019年で比べると、個別カスタマイズが可能な「パッケージ(データセンタ設置)」が減っている一方で、決められた機能をサービスとして利用する「ASP/SaaS利用」が増えている。社外設置という点では共通しているものの、「パッケージソフトからSaaSへの移行が進んでいる」とノークリサーチでは推測している。
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