ビッグデータなどの情報解析を支援するデータ解析企業であるFRONTEOは2019年11月18日、自社開発のAI「KIBIT」を用いたコンプライアンス違反の予兆発見・監査サービス「saki-mori」の提供を開始すると発表した。FRONTEOにまとまった期間のデータを預けることで、ハラスメントや経費不正請求、キックバック、情報持ち出し、カルテル・癒着など、企業におけるコンプライアンス違反やルールの逸脱などの予兆、不穏な動きの早期発見を図れる。
saki-moriは、コンプライアンス違反の予兆発見・監査サービスである(図1)。ユーザーから提供されたサンプルメールを教師データとして、KIBITが膨大な量のデータを精査し、「見つけたい文書」と「見つけなくてよい文書」に分ける。そして、統計的手法により精度を担保しながら、人が見なくてもよい文章を指定する。これにより、人が確認する文章量を削減できる。また、急を要する度合いに応じてスコアリングする。コンプライアンス違反を検知した場合は、速やかにFRONTEOによる不正調査に移行できる。
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また、システムを常時走らせるのではなく、1カ月単位・四半期単位とユーザーのニーズに合わせて選択できる。対象者は都度変更できるので、1年を通じて複数部署を順番に監査することも可能だ。対象人数は3名程度から1000名以上の規模まで対応できる。
KIBITは、専門家や業務熟練者の経験に基づく「暗黙知」を学習し、その判断軸に沿ってテキストデータを高い品質で効率的に評価するAIである。小規模な計算資源と少量の教師データによる短時間での解析が可能だ。独自の機械学習アルゴリズムを用いており、異なる表現でも類似性や文脈を捉え、文章の特徴量を抽出できる。