[市場動向]

日立、セキュリティ人材の育成などを掲げ「日立サイバーセキュリティセンター」を設立

2019年12月6日(金)IT Leaders編集部

日立製作所、日立ソリューションズ、日立ソリューションズ・クリエイトの3社は2019年12月5日、日立グループの高度セキュリティ人材の育成、およびサイバーセキュリティ研究を目的とした「日立サイバーセキュリティセンター」を2019年12月9日に開設すると発表した。サイバー攻撃に対する対応力を強化し、安全な事業環境の構築を支援する。

 日立サイバーセキュリティセンターは、日立グループ社員向けにサイバー攻撃のシミュレーション体験と実践演習を行う施設である(写真1)。システムおよびサービス開発におけるサイバー攻撃対策の技術力向上を図り、セキュリティ人財を育成する。高度なセキュリティ技術・知識を有するプロフェッショナル人材(高度セキュリティプロフェッショナル人材)がサイバーセキュリティの調査・研究を行うことで、サイバー攻撃に対する迅速かつ適切な対応力の強化を目指す。

写真1:日立サイバーセキュリティセンターの様子(出典:日立製作所、日立ソリューションズ、日立ソリューションズ・クリエイト)写真1:日立サイバーセキュリティセンターの様子(出典:日立製作所、日立ソリューションズ、日立ソリューションズ・クリエイト)
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 日立グループでは、日立ITプロフェッショナル認定制度のもと、知識と経験を備えたセキュリティ人材を「日立情報セキュリティスペシャリスト」として認定している。プレミアム・プラチナ・ゴールド・シルバー・ブロンズの5段階に分けて認定しており、2022年3月末までに1万人規模で育成することを目指している。

 今回開設する日立サイバーセキュリティセンターには、サイバーレンジ(仮想のサイバー演習空間)を構築する。また、日立グループが持つノウハウを基に作成したオリジナルの脅威シナリオでシミュレーション体験と実践演習を行う「Training Room」、日立グループ内の高度セキュリティプロフェッショナル人材がサイバーセキュリティの調査・研究を行う「Research Room」、顧客向けのコンサルティングやサービス提供を行う「Service Room」も併設する。

 Training Roomでは、情報セキュリティスペシャリスト認定教育プログラムの一環として、入門者向けの教育から、認定取得者がレベルアップを目指すための上級者(高度セキュリティ人材)向けの教育まで、各レベルに応じた講座を用意する。サイバーレンジでは、サイバー攻撃をシミュレーションすることで、実際の脅威を体験しながら実践的な訓練・演習を行う。脅威シナリオは、日立グループが経験してきた様々なケースやノウハウを基に独自に作成したものを使用する。

 Research Roomでの最新のサイバー攻撃に関する調査・研究結果は、Training Roomの教育カリキュラムに随時反映する。これにより、受講者は、最新のサイバー攻撃に対応した実践的な訓練・演習を行える。また、Service Roomでの顧客向けのコンサルティングやサービスにも随時反映する。

 Research Roomには、日立グループ内の高度セキュリティプロフェッショナル人材が常駐し、サイバー攻撃に関する調査・研究に取り組む。また、相互に成果を共有することで、技術力のレベルアップを図る。

 設立の背景について同社は、近年、様々な用途でIoTの導入が進む中、サイバー攻撃の手口が高度化・巧妙化し、企業のITシステムだけでなく、機器や設備などの管理を行う制御システムも脅威にさらされている状況を挙げる。「一方、セキュリティインシデントなどの対応を行う人材が不足しており、人材の育成が喫緊の社会課題となっている」(同社)。

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